OKIアイディエスは、Armと「Arm Approved Design Partner」契約を締結したと発表した。開発工程として定着した「FPGAプロトタイピング」の拡大を見込み、Armアーキテクチャ搭載ASIC/LSI開発の前段階の構築、検証サービスを提供する。
OKIグループの設計開発受託事業会社であるOKIアイディエス(OIDS)は2025年6月30日、Armと「Arm Approved Design Partner」契約を締結したと発表した。開発工程として定着した「FPGAプロトタイピング」の拡大を見込み、Armアーキテクチャ搭載ASIC/LSI開発の前段階の構築、検証サービスを提供する。
OIDSは、製品のアイデア段階から設計の初期段階の上流工程にフォーカスした設計開発受託サービスに注力しており、特にFPGA設計の豊富な実績とノウハウや知見、豊富な独自IP(半導体設計資産)を持つ。
従来は機器に搭載するFPGAの開発に力を入れてきたが、モバイル機器やAI(人工知能)半導体なども含めFPGAの搭載が難しい機器の開発で、ASICが必要になる場合も多かった。ただ、ASIC開発において、製造前の設計データをFPGAに実装し、ハードウェア環境で設計の動作を検証するFPGAプロトタイピングが定着してきたことから、従来のFPGA開発のノウハウを生かしながら、この領域に乗り出すことを決め、Arm Approved Design Partner契約を行った。
OIDS 執行役員で事業部門長兼事業統括部長である山本康雄氏は「FPGAの開発を12年間やってきてノウハウの蓄積がある。ASIC開発には膨大なコストがかかるため、事前検証が重要になっている。もちろん設計段階での検証は行うが、ハードウェアで実際に動かしてみて分かることもある。そのためFPGAプロトタイピングが注目されているが、この領域であればOIDSのFPGAのノウハウが生かせる。この領域でASIC開発の支援にも参入していく」と述べている。
今回のArmとの提携によりOIDSは、Arm搭載ASIC/LSI開発の前段階となるFPGAを活用したプロトタイプ開発サービスを提供する。検討している仕様をFPGA上で動作させ、「機能要件」を満たしていることが検証されたプログラムをASICに展開できるようにする。また、プロトタイプ開発完了後は、ASIC/LSI開発へのシームレスな移行を支援し、開発プロセスの効率化や開発期間の短縮に貢献する。
Armの技術を活用することで、日本国内のAI搭載機器、医療機器市場における設計受託事業を強化する。またOKIグループとしては、設計受託した機器の試作や量産についても、OKIの展開するEMS(生産受託サービス)事業での受注を伸ばしたい考えだ。2026年度に年間1億円の売上高を目指すとしている。
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