インテルから分社独立を果たしたマカフィーは、2017年の注力分野として「セキュリティを新たな分野へ展開」を挙げ、IoT(モノのインターネット)と重要インフラのセキュリティに注力する方針を示した。
マカフィーは2017年4月21日、東京都内で事業戦略説明会を開催。2017年の注力分野として、「セキュリティの人材不足の解決を支援」「働き方改革を支えるセキュリティに注力」「セキュリティを新たな分野へ展開」の3つを打ち出した。
かつて企業イメージカラーが赤色だったマカフィーだが、2010年にインテルに買収されてからは、インテルセキュリティという1事業部門となり(日本のみマカフィー株式会社として存続)、企業イメージカラーはインテルと同じ青色になっていた。
インテルは2016年9月、投資会社であるTPGの出資を受けて、マカフィーを分社独立させると発表。そして2017年4月3日に新生マカフィーが発足した。出資比率はTPG51%、インテル49%で、企業イメージカラーは赤色に戻った。
日本法人・マカフィーの社長である山野修氏は「世界最大規模のサイバーセキュリティ専業会社を目指して、社会やビジネスの安心・安全を守ることを、世界約7700人の従業員が新たに誓った。もはや1ベンダーだけでサイバーセキュリティを守ることはできない時代であり、セキュリティ業界やパートナー、ユーザー企業と協調していくことが重要だ」と語る。
協調を重視する経営方針に対応しているのが、今後の事業展開の核となる「統合化された防御アーキテクチャ(Unified Defense Architecture)」だ。オープンソースのOpenDXLを核とするプラットフォーム上に「ダイナミックエンドポイント」「データセンターとクラウドの保護」「包括的なデータ保護」「インテリジェントなセキュリティ運用」に対応する自社製品を展開するとともに、自社が持たないセキュリティ製品については積極的に「パートナーエコシステム」の製品と連携できる仕組みを構築していく考えだ。
また製品のみならず、セキュリティ運用のコンサルティングなどを含めて総合的にカバーする「プロフェッショナルサービス」を提供。そして「McAfee Cloud」を通じて、管理、分析、インテリジェンス、セキュリティサービスをユーザーに利用してもらえるようにしていくという。
3つの注力分野のうち、「セキュリティを新たな分野へ展開」は、いわゆるIoT(モノのインターネット)セキュリティへの展開強化となる。
既にPOS端末などには、マカフィーの組み込みセキュリティ製品が採用されており、今後は、複合機、工作機械などでも採用が進んでいく見込みだ。また2016年から進めている、工場の製造プロセスなどで用いられているOT(制御技術)分野のセキュリティ支援にも注力していく。
新生マカフィーになってからの最初の大きな発表案件となったのが、日本政府も強化している重要インフラのセキュリティ対策の事例だ。2017年4月5日、東京電力パワーグリッドなど5社とともに、2020年までに世界最高のセキュリティレベルを持つ次世代電力系統監視制御システムを開発し、その技術を海外に販売していくことで合意した。「マカフィーは、電力をはじめ国内の重要インフラ業界と良い関係を築けている」(山野氏)という。
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