「破壊的技術」に「十分に準備できている」は全体の30%製造マネジメントニュース

KPMGコンサルティングは、「破壊的技術」に関する意識調査レポートの日本語版を刊行した。世界16カ国のテクノロジー企業を対象とした同調査により、破壊的技術に対して「十分に準備ができている」企業は、全体の30%程度であることが分かった。

» 2017年04月11日 09時00分 公開
[MONOist]

 KPMGコンサルティングは2017年3月30日、「破壊的技術」に関する意識調査レポート「破壊される破壊者―破壊的技術の兆候:テクノロジーセクター」の日本語版を刊行した。

 「破壊的技術(Disruptive Technology)」とは、既存市場では受け入れられないが、新しい顧客に対して新しい価値をもたらす新製品を生み出すような技術のこと。同調査は、この破壊的技術について、世界16カ国のテクノロジー企業のシニアエグゼクティブ580人を対象として2016年1月に実施した。対象企業はハードウェア/ソフトウェア、機器、半導体のメーカー、インターネット企業、ソーシャルメディア関連企業などだ。

 調査レポートによると、67%のテクノロジー企業のエグゼクティブが、新しい市場への参入や新たな顧客層の獲得、より効率的なビジネスモデルの構築など「破壊的技術は自社および業界にプラスの効果をもたらしている」としている。しかし、破壊的技術に対して準備ができているかという問いに「十分に準備ができている」とする企業は、どの問題においても全体の30%程度となっている。

 なお、国内企業に限ると「破壊的技術がプラスの効果をもたらしている」とするリーダーは29%にとどまっている。「何らかの不利益を被ったことがある」との回答も40%にのぼり、グローバル全体平均とは異なる結果を示している。

 また、テクノロジー企業は、これまで破壊者として他の産業を揺るがす側であったが、今回の調査では、テクノロジー企業にとって破壊的技術に対する最大の懸念は、他の産業から新たな競合が参入することだと分かった。

 さらに「破壊的技術により不利益を被ったことがある」と回答したエグゼクティブの38%が、「新たなテクノロジーのトレンドに乗り遅れた」と回答している。対照的に、破壊的技術をプラスと見ているエグゼクティブの46%は、競合他社よりも早く新しいテクノロジーに投資していることが明らかになった。

 今回の調査では、多くのテクノロジー企業が、さまざまな新しいテクノロジーに対して同時に投資していることも分かった。投資分野はIoT(モノのインターネット)やデータアナリティクス、クラウドなどが上位を占めているが、将来どのテクノロジーが最大の効果をもたらすか確信がなく、破壊的技術への投資について明確な戦略を持てていないことを示すと同社では分析している。

 この結果を踏まえ、同社では、テクノロジー企業が破壊的技術への投資や技術の導入をする際にリーダーが取るべき行動を挙げている。「破壊的技術が組織に与える影響を理解する」「破壊的技術への投資を企業戦略と合致させる」「今日のテクノロジーと明日のテクノロジーへの投資のバランスをとる」「投資に敏しょう性を持たせる」「組織を変革軌道に乗せる」の5つだ。

 破壊的技術への投資は広範囲となることから、「生産性」「運用コスト」「顧客体験」などの指標をもとに、企業に競争優位をもたらす適切なテクノロジーに投資していくことが重要だとしている。

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