“革新”を「天才が生む」と考える日本、「組織で生み出す」と考える世界モノづくり最前線レポート(1/3 ページ)

日本GEは、日本の産業のさらなる成長に向けた提言を行う「“Japan is Back”フォーラム」を開催。今回はテーマを「イノベーション」とし、GEグループが世界26カ国の経営者3200人に対して実施しているイノベーションに対する調査「GEグローバルイノベーション・バロメーター」の結果を基に、日本と世界のイノベーションに対する取り組みの違いなどを紹介した。

» 2014年10月02日 09時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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 日本GEは2014年9月30日、日本の産業のさらなる成長に向けた提言を行う「“Japan is Back”フォーラム」を都内で開催した。「“Japan is Back”フォーラム」は、日本経済の復活=“Japan is Back”をテーマとして日本のさらなる成長と課題について提言するもので、今回で3回目を迎える。

 今回は「イノベーション(革新および革新的製品)」をテーマとし、一橋大学イノベーション研究センター教授で、プレトリア大学GIBS日本研究センター所長の米倉誠一郎氏を招き、GEが毎年実施しているイノベーションに対する調査「GEグローバルイノベーション・バロメーター」の結果を基に、日本と世界のイノベーションへの取り組みの違いなどを紹介した。

 GEグローバルイノベーション・バロメーターは、企業のイノベーション戦略やそれに関連する取り組みなどを聞いた調査で2014年で4回目。コンサルタント企業のエデルマン・バーランドによって実施され、各国の経営者の中でイノベーションに対する考え方がどのように変化しているのか、などについて調べている。対象は世界26カ国の経営者3200人(内100人が日本)で、全員が所属企業のイノベーション関連の意思決定に関わりがあるという。

イノベーションの価値を低く見積もる日本

photo 一橋大学イノベーション研究センター教授 プレトリア大学GIBS日本研究センター所長 米倉誠一郎氏

 2013年に行われた同調査では、日本の経営者は「会社経営にとってイノベーションは大変重要な戦略的優先課題」とした回答が、主要5カ国(日本、米国、ドイツ、韓国、中国)の内で最も低く、さらに「優先的な課題ではない」とした割合が最も高い、というイノベーション軽視の傾向が出ていた。これについて米倉氏は「全員がイノベーションに関わる立場であるにもかかわらずこの結果は衝撃的だった。海外の企業との取り組みの違いは顕著だ」と強調する。

 昨今はイノベーションの重要性が強く語られるようになり、多くの日本企業もさまざまな取り組みを行うようになっている。しかし、海外企業と日本企業のイノベーションへの取り組みに対し、2014年調査でも多くの違いが浮き彫りになった。

 例えば、「イノベーションを推進するために行う取り組み」という質問に対し「会社にとって重要だ」とした日本企業は1項目を除いて全てグローバル平均より低い比率となった。グローバル平均より高い項目は「素早く検証し、失敗し、調整するようなアプローチを採用する」という項目だけだった。一方でグローバル平均との乖離(かいり)が大きかったのが「イノベーション活動のために一定の予算を確保する」「データ分析・予知分析の知識を活用する」「イノベーション活動のために投資家を巻き込む」「短期的な財務上の目標よりも長期的なイノベーションの目標を優先する」などの項目だった。

photo イノベーションを推進するために行っている取り組みの日本企業の平均とグローバル平均(クリックで拡大)

 米倉氏は「これらの傾向から見えることは、日本企業は十分なバックアップを行い組織的にイノベーションに取り組んでいるとはいえないということだ」と指摘する。

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