GLMは京都大学のベンチャー・ビジネス・ラボラトリーで発足した「京都電気自動車プロジェクト」を継承し、2010年4月に事業化した。
京大でEVの研究が進められたのは、幾つかの要因がある。
古都京都は、日本を代表する観光都市である。だからこそ、産業の大半を観光資源とサービス業に頼っていると考える方も多いだろう。しかし、総務省統計局が発表する「経済センサス基礎調査」にあるように、実は製造業が占める割合が高い。
京都の製造業は業種の多様さが特徴だ。いわゆる企業城下町では、大手メーカーの製品に付随した製造業が集積するケースが多い。だが、京都では中小規模の製造業が共存共栄を果たしている。世界で活躍するテクノロジー企業も多い。そうしたことから、「在京企業の技術を集めれば、EVの基幹システムが全てそろう」ともいわれていたそうだ。
一方で時代的な背景もある。
日本を代表する産業である自動車産業は典型的な垂直統合型ビジネスだ。大手メーカーが研究開発をし、デザインから設計を固め、各要素技術を部品メーカーに発注している。
かつては家電業界も同様だった。PCを筆頭にデジタル家電が主力商品になるにつれ、家電メーカーは、垂直統合型から水平分業型のビジネスモデルへと変化してきた。
「EVなら従来の垂直統合型ではなく、電機メーカーの部品を使っていろいろな企業とネットワークを結び新しい発想でモノづくりができると考えました」と小間氏は説明する。
今でこそEVは大手が参入し、普及期に入ろうとしているが、京都電気自動車プロジェクト発足から創業当時は、部品メーカーも大学ベンチャーと共同研究をすることで、自社の技術を世の中に出そう考え、共同開発を受けてもらえる環境だったそうだ。
EVといえば、エコロジーをコンセプトにしたファミリーカーが主流だ。しかし、GLMは冒頭でも紹介したように「尖がった」コンセプトのスポーツカーを手掛けている。
ここにはベンチャーならではのもくろみがあった。
資本が限られているため、大量生産のビジネスモデルには踏み出せない。少量生産の希少性が価値になるスポーツカーはベンチャーにとって有利だった。そしてEVは、ガソリン車と比較して初速がいい。発進の加速性を生かすのにも、スポーツカーが適している。
人との出会いもあった。
同社が最初にエンジニアを募集した際、幻のスポーツカーと呼ばれるトミーカイラZZを開発販売していたトミタ夢工場の元技術者が応募してきたのだ。その技術者からトミーカイラZZのエピソードを聞き、GLMのコンセプトと共通点を見いだした小間氏は、トミーカイラZZを継承する「EVスポーツカートミーカイラZZ」の開発を決意した。
「EVは、部品をブロックのように組み合わせればできるといわれており、私もそのような考え方を持っていました」と小間氏は語る。
実際、旧トミーカイラZZのシャシーを使い、EVへコンバージョンする形で試作1号車を製作した。電池やモーターなどパーツを組み合わせ、半年で完成した試作機に「幻の名車がEVとして復活」「和製テスラ誕生」と地元は沸き上がったという。
しかし、周囲の反響とは裏腹に、小間氏は絶望的な気持ちになったそうだ。
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