前項で、QMS省令の構築の際に「ISO13485」を導入したと書きましたが、それではこの「ISO13485」とはいったい何のことでしょうか。
「ISO」とは、「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」により策定された国際規格のことを指します。
国際標準化機構は、スイスのジュネーブに本部を置く非政府組織で、品質、環境、リスクマネジメント、労働安全など、さまざまな分野に関する国際規格を策定しています。時代の流れとともにさまざまなISO規格が追加され、また既存の規格も常に改訂がなされています。
「ISO」といえば、身近な一般製品に関係するところでは、デジタルカメラの感度(どれだけ弱い光まで記録できるか)を表す数字として「ISO400」「ISO1600」などという表示があります。これも「ISO感度」というフィルムの感度に関する規格であるISO5800(1987年版)に基づいた格付けの数字を使用しています。
余談になりますが、この「ISO5800:1987」とは、カラーネガフィルムのためのISO感度規格であり、デジタルカメラで使用する場合には、「相当」と表現することがあるのはこのためです。
他にも、取得している企業の名刺や広告などで目にすることがあるかと思いますが、品質マネジメントシステムである「ISO9001」や、環境マネジメントシステム「ISO14001」などが、代表的なISOによるマネジメントシステムの規格としてあります。
ここでご紹介している「ISO13485」は、品質マネジメントシステムの中でも、医療機器の品質保証のための国際標準規格として規定されたものです。
さて、第2回は、第1回の医薬品医療機器等法の全体像を俯瞰した内容から、「医療機器等を市場に流通させる為に必要なこと」について、少しずつ触れていきました。
法律を読み解き、実務で運用するには慣れが必要ですが、その「用語」の多さで挫折してしまうことが多くあります。
まずは少しずつ、用語の解説を重ねながら内容の深掘りを始めたいと思いますので、次回以降もよろしくお願いいたします。
参考資料:吉田法務事務所作成/吉田法務事務所スライド管理システム
吉田 武史(よしだ たけし)/吉田法務事務所 代表、日本薬事法務学会 理事長
東京理科大学薬学部在学時から行政書士として吉田法務事務所を開業。その後、薬剤師の国家試験にも合格し、行政書士の法律知識と薬剤師の薬学知識とを活かした活動を行っている。医療機器や化粧品、医薬部外品など薬機法に関わる行政照会の実績を多数持ち、クライアントの悩みを解消する薬事法務関連のコンサルティング業務を得意としている。
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