工場用情報システム用ミドルウェア「ORiN(オライン)」を策定するORiN協議会が「ORiNミーティング2017」を開催。インダストリー4.0に代表される“つながる工場”に注目が集まる中で、10年以上前からFA機器の異種環境を吸収するミドルウェアとして策定されてきたORiNへの期待も高まっている。
工場用情報システム用ミドルウェア「ORiN(オライン)」を策定するORiN協議会は2017年2月1日、東京都内で「ORiNミーティング2017」を開催した。
ORiNは、日本ロボット工業会がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトのもと1999年から策定を進めてきた、ロボット間の異種環境を吸収する標準プラットフォームだ。2001年にバージョン1.0が完成した後、2002年にORiN協議会が発足。2005年には現行のバージョン2.0をリリースしている。現在では、ロボットだけでなくFA機器やデータベース、ローカルファイルなど幅広いリソースを扱えるようになっている※)。
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ORiN協議会の広報委員会委員長を務めるデンソーウェーブの澤田洋祐氏は「インダストリー4.0が注目を集める中で、さまざまな産業用ネットワークをつなげられるORiNへの期待も高まっている。実際に、今回のORiNミーティングの参加者は約140人となり、ついに100人を超えた」と語る。
FA業界では、既にPCには搭載されなくなっているRS-232Cなどの古いインタフェースがまだ残っている。「古いものが残る上で、新しいものが増える」(澤田氏)というFA業界にとって、ゲートウェイとしてその差異を吸収するORiNがあれば、古いものを活用し続けながら、インダストリー4.0などに求められる新たな規格にも対応できる。実際にORiNは、インダストリー4.0で製造現場と上位システムのデータ連携に用いられるOPC-UAにも対応できるようになっている。
そんなORiNだが、2016年もさまざまな活動を広げてきた。ドイツのFA関連展示会である「Automatica」から要請を受けて出展した他、「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」の日本マイクロソフトブースで、デンソーウェーブの産業用ロボットとORiN、クラウドサービス「Microsoft Azure」を連動させた「コーヒーバリスタロボット」の実現に協力した※)。
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2017年3月にドイツ・ハノーバーで開催される「CeBIT」では、さらなるアップグレードを図ったコーヒーバリスタロボットを披露する予定だ。
またAI(人工知能)が東京大学の入試に挑むプロジェクト「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」では、AIが導き出した答えを答案用紙に書き込む解答代筆ロボットアーム「東ロボ手くん」のシステムをORiNを使って構築した。
この他2016年7月には、ORiNと日本電機工業会(JEMA)の産業用オープンネットワーク規格「FL-net(エフエルネット)」の連携を発表※)。「中京地区ではかなり大きな話題になっている」(澤田氏)という。
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