日本電機工業会が推進する産業用オープンネットワーク規格である「FL-net」と、日本ロボット工業会が推進する工場用情報システム用ミドルウェアの「ORiN」が提携し、連携ツールの開発を進める。
日本電機工業会(JEMA)が推進する産業用オープンネットワーク規格である「FL-net(エフエルネット)」と、日本ロボット工業会が推進する工場用情報システム用ミドルウェアの「ORiN(オライン)」は、それぞれ連携可能なツールの開発を進めることを発表した。日本で開発され、日本の業界団体が推進しているORiNとFL-netが連携して、その適用範囲を広めることで、日本国内だけでなく、グローバルで活用されるネットワークを目指すとしている。
インダストリー4.0やIoTを基盤とする工場システムを実現するためには、既存のさまざまな産業用オープンネットワークを統合することが必要となる。もともとORiNは、こうした異種環境を吸収することを狙って開発されたミドルウェアである。
日本ロボット工業会がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトとして開発され、ロボット間の異種環境を吸収する標準プラットフォームを目指していた。しかし、ロボットだけでなくFA機器やデータベース、ローカルファイルなど幅広いリソースを扱うことができるために「Open Resource interface for the Network」と再定義し、現在に至っている※)。
※)関連記事:いまさら聞けない ORiN入門
一方のFL-netは、JEMAがPLC(プログラマブルロジックコントローラー)間の相互接続性を実現するために開発した産業用のオープンネットワークである※)。
※)関連記事:いまさら聞けないFL-net入門
ただ、最近はトヨタ自動車が自社工場で基軸としていたFL-netから、EtherCATへと乗り換えるとした方針を示すなど、巻き返しが求められる状況になっていた※)。今回の連携により、ORiNとFL-netが互いにデータを交換することができるようになり、さらに、ORiNとFL-netがこれまでそれぞれで培ってきたソフトウェアを活用することができる環境を目指すという。
※)関連記事:トヨタが工場内ネットワークでEtherCATを全面採用、サプライヤーにも対応要請
具体的には、ORiNと接続するためのソフトウェア「FL-netプロバイダ」というソフトウェアの開発を進め、提供することを目指す。このソフトウェアにより、既存のFL-netのネットワークや新規のFL-netネットワークにORiN用のシステムが参加可能になるという。両工業会では今回の連携領域にとどまらず継続して技術的な連携を実現する取り組みを進めていくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.