ロームは「オートモーティブワールド2017」において、電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」で採用実績のあるSiCパワーデバイスを紹介した。
ロームは「オートモーティブワールド2017」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)内の「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」において、電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」で採用実績のあるSiCパワーデバイスを紹介した。
同社は2016年10月、ヴェンチュリー・フォーミュラEチームと3年間のテクノロジーパートナーシップ契約を締結した。同年10月開幕のシーズン3(2017年7月まで)からレーシングカーの電動システムのインバーターに、同社のSiCショットキーバリアダイオードが採用された。損失低減により前シーズンのインバーターと比較して効率が1.7%改善。冷却機構も含めた小型軽量化により、重量を2kg、体積は30%削減した。
写真では前シーズンと比較してインバーターの大きさに大差ないように見えるが、前シーズンのインバーターは冷却機構を除いて展示しているという。
シーズン4には、SiCトランジスタの採用も予定されており、さらに重量や体積の削減に貢献できるとしている。
ヴェンチュリーオートモービルは、モナコが本拠地の自動車メーカー。フォーミュラEチームは2013年12月に設立、フォーミュラE開催当初から参加している。
同展示会では、高級モデルを中心に増えている全面が液晶のメータークラスタや、今後採用拡大が見込まれている電子ミラーといった液晶の機能安全に対応したチップセットも提案した。
チップセットは、液晶向けの電源IC、タイミングコントローラー、ソースドライバ、ゲートドライバが相互に異常を検知するもの。例えば、ゲートドライバの入力信号の異常はタイミングコントローラーが、入力電圧の異常は電源ICが検出する。
異常を検出した後は、顧客の設定によって警告灯を点灯させたり、画面をブラックアウトやカラーバーにしたりすることができる。走行中に突然表示されなくなるような事態を防ぎ、ドライバーに液晶の異常を早期に知らせることで迅速に修理するよう促せる。タイミングコントローラーを入れ替えることで、フルHDや3Kまで高解像度にも対応する。
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