シリンダーヘッドの組み付け前に、座金をヘッドに置くためのからくりも興味深かった。ダイハツ工業の「ワッシャマン」は、軽自動車用エンジンのシリンダーヘッドの狭い空間を通して、シリンダーブロックとの締結ナットの下に敷くワッシャー(座金)をまとめて配置できる。
ナットより大径のワッシャーは、狭い空間を通すには斜めにしなければならず、スタッドボルトに通すためには平らに置かなければならないため、従来は専用の治具を使い、熟練工が手作業で所定の位置に座らせていたが、「ワッシャマン」を使うことでワッシャーの治具への取り付け、狭い空間への落とし込み、定位置での配置を実現できるという。
軽量化と燃焼効率という2つの条件を満足させるために、ギリギリの精度を追求するエンジン設計に生産効率を追従させるためには、からくりは欠かせないものなのだと気付かされた気がした。
同社ではトルクコンバーター(トルコン)の内製化も進めており、従来は手作業で取り付けていたトルコン内部の羽根を、手指を傷めることなく軽々と、なおかつ確実に装着するための治具も開発、これから生産現場で使われるようになるそうだ。
今回、初めてホンダが出展したこともトピックだろう。「どーきんずErina号」は、ラインを流れるモノコックボディーと組み付け部品の作業台の間を、作業者が何度も往復しなければならなかったものを、作業台がボディーと連動して動き、1台の作業が終了するとラインの最初まで戻るように工夫したからくり。
車体の組み立てラインで歩行ロスを半減させて疲労を軽減するだけでなく、作業に余裕をもたせる効果があるため、組み付けミスを防ぐ効果もありそうだ。この他部品の取り付け忘れやバーコードの読み取り忘れを防ぐ移動式の作業台など、ホンダも独自のからくりを導入していることをアピールしていた。
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