サービスのグローバルマザー工場へ、生産撤退後に生きた日本の現場力:メイドインジャパンの現場力(6)(4/4 ページ)
群馬事業所におけるLenovo製品の修理は、2014年6月からタブレット(修理IT変更は2016年6月から)、2016年7月にIdeaシリーズ、同年8月にThinkシリーズの3ステップで取り込みを完了した。
群馬事業所におけるLenovoの修理スペース。看板などは英語表記を併記している(クリックで拡大)
その際にはフロア内看板の表記には英語を併記した。また「Lenovoは略語が多すぎて分からないケースが多い」(群馬事業所)ことから、3文字略語などをグローバル表現へと統一している。さらに、品質意識も「NECは主にコンシューマーの顧客だが、Lenovoはコンシューマーとともにコマーシャルの顧客の割合も多い。そのため商談への影響度など一件一件の重みも変わってくることから、顧客別対応など意識を変えて、スピードとクオリティーの2点にフォーカスして対応している」(群馬営業所)という。
一方、HDDイメージのネットワークインストールの構築や統合テストツールの開発、修理完了品質の確保や統一化、修理情報ナレッジ構築、情報やノウハウ、スキルの共有などの効率化、標準化の追求について、継続して取り組んでいる。さらにNEC修理思想のITへの反映やTANABAN(棚番)など修理品個々の管理、naviによる進捗管理などの修理品管理手法も引き続き実施している。こうした取り組みで群馬事業所では、Lenovo製品についてもワールドワイドのマザーファクトリーとしての地位確立を目指すとしている。
Lenovoの修理取り込みで取り組んだ改善の例。英語表記の併記や略語の統一など地道な取り組みを進めた(クリックで拡大)出典:NECパーソナルコンピュータ
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