そんなモヤモヤを抱きつつ実車を借り出して出掛けた。運転してみたり助手席に乗ったり、リアシートに座ったり。
タントより背が低いとはいっても、前席も後席も頭上には大きな空間が余っているので、狭苦しさはさほど感じないし、少し高めのアイポイントは、運転のしやすさ感にもつながるだろう。
ただ、この広さが逆にパーソナル感を薄めている要素の1つにも感じる。外観も大きな空間を持つ箱形状もしかり。似たような色のラパンの隣に並べて、両方を比較しながら眺めていたので、より強く感じたというのもある。
説明された想定ユーザー像を考えながらいろいろな方向から眺めていたが、パーソナルな誰かの部屋というより、家族が皆で使うリビングのような印象の方が強く感じるあたり、モヤモヤが続く。
そしてさらなるモヤモヤは、リアのスライドドアを開けたときに訪れる。室内は全体的に明るい色でまとめられており、インストゥルメントパネルやフロントのドアトリムも黒と明るい色の2色構成となっている。ところがリアドアトリムは黒いのだ。フロントドアトリムと同様、元のアイデアは2色構成を想定したかのような見切り線も残っている。「最終的にコストからこうなっちゃいました」という感じで目についてしまうのは残念だ。
ダイハツ工業の想定では、平日の昼間は親が運転、平日の夜や週末は娘が乗る使い方なので、4人フルで乗る頻度は少なく、優先度としては前席側がメインの空間となるのだろう。実際に乗ってみてもフロントシートは、身長172cmほど、座高高めの筆者でもシートバックの高さに不足感ないが、リアシートに座ると小さく・薄いシートに座らされている感じで(コスト配分などに)メリハリが付けられていることは感じる。
その一方で、上のカタログ写真でも実車でスライドドアを開けた景色でも、後席空間の広さの方が目に入り、こちらに優先度を訴求しているようにも感じなくもない。
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