「Design」「Make」「Use」が融合する時代、設計者の役割も変わる? : Autodesk University Japan 2016 (3/3 ページ)
オートデスクは、アルゴリズムを利用して形状設計を行うジェネレーティブデザインの普及にも注力している。ブラム氏がその事例として紹介したのが、Airbus(エアバス)とUnder Armour(アンダーアーマー)だ。
エアバスは、ジェネレーティブデザインと3Dプリンティングによって、従来比で45%軽量化した「バイオニックパーテーション」を開発した。このバイオニックパーテーションを採用した航空機が、2017年中にも日本に就航する可能性があるという。
エアバスは、ジェネレーティブデザインと3Dプリンティングによってパーテーションの内部構造の軽量化を図った(クリックで拡大) 出典:オートデスク
アンダーアーマーは、創業20周年を記念して限定発売したトレーニングフットウェア「UA Architech」に、ジェネレーティブデザインと3Dプリンティングを適用した。安定したクッション性を持つソールをジェネレーティブデザインでの設計し、ソールの製造は3Dプリンティングで行った。限定販売とはいえ、一般消費者向けの製品に3Dプリンティングで製造した部品をそのまま用いるのは、かなり珍しい事例になるだろう。
アンダーアーマーのトレーニングフットウェア「UA Architech」。赤いソールの部分は、ジェネレーティブデザインで設計し3Dプリンティングで製造した(クリックで拡大) 出典:オートデスク
ジェネレーティブデザインでは、究極の自動車シャシーを開発するプロジェクト「HACK ROD」についても紹介した。HACK RODでは、ベースシャシーに多数のセンサーを取り付けた車両を世界クラスのドライバーが運転し、そのセンサー情報を収集。このセンサー情報と人工知能によるジェネレーティブデザインで究極のシャシーを設計しようというものだ。
「HACK ROD」でベースシャシーにセンサーを組み付ける様子(クリックで拡大) 出典:オートデスク
これらのさまざまな事例は、「Design」「Make」「Use」が融合する時代において、設計者の役割も変革を迎えることを示唆しているのかもしれない。
設計は「ソフトが代替案を考える」時代へ、有機的なデザインをすぐに演算
オートデスクは2015年10月9日、東京都内で「Autodesk University Japan 2015」を開催した。基調講演には米オートデスクの最高マーケティング責任者 クリス・ブラッドショー氏が登壇し、最新の設計技術について解説した。
技術とともに、より良い設計環境を次世代へ
オートデスク主催の「Autodesk University Japan 2015」では、ユーザー企業による講演が多数行われた。本稿では、新潟原動機 福岡和彦氏の講演「次世代のエンジニアへ残すべき3D活用環境構築への取り組み」について紹介する。
オートデスクの3Dプリンタは“永遠の未完品”を目指す
オートデスクは、3Dプリンタの受注と3Dプリンタ向けのオープンソースソフトウェア基盤の事業展開について発表したが、その背景にはどういう狙いがあるのだろうか。同分野を担当するビジネスディベロップメント+オペレーションズ シニアディレクターのオーブリー・カテル氏に話を聞いた。
オートデスク、クラウドベースCAMへの参入を発表
米Autodeskは、クラウドベースのCAMサービス「Autodesk CAM360」を同社のユーザー向けイベント「Autodesk University 2013」で発表した。同社のCAMパッケージ製品の提供は初めて。
ジェネレーティブデザインを切削加工で生かす「Inventor 2017」、STLの再編集も
オートデスクは、製造業向け3次元CADツール「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2017」を発表した。「Inventor 2016 R2」で追加した最適構造を導き出すジェネレーティブデザインの充実に加え、3Dプリンタの普及によってインターネット上での流通が広がっているSTLファイルの再編集機能などさまざまな強化を図った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.