こちらは射出成型室です。
ノムラは平成24年に試作トライ用として、40トンと120トンの2台の成形機を導入しました。金型は、組んで仕上げて完成ではなく、試作トライを合格してはじめて「商品」としてお客さまに納められます。この試作トライが、金型製作の中で最も緊張する工程です。無事に試作品が上がれば、緊張は一瞬で歓びに変わるといいます。その緊張と歓びがあるからこそモノづくりは楽しく、素晴らしいのです。
こちらは、CAD/CAM兼検査室です。
2D CADは主にAutoCADとWIN MAX。3D CADではTop SolidとCAD meisterを主に使い、その他、金型設計に適したアプリケーションを駆使しています。
検査機器には顕微鏡や画像測定機が複数備えられ、精度管理のみならず要求が高度化する金型部品の外観に至るまで、厳密な管理を行っています。
過去3回の放浪記の中で毎度問題に上がっていた「図面とデータの不整合問題」は、ノムラでも例外なく見受けられるそうですが、ノムラの場合は製品の図面とデータを受け取り、その金型一式を設計からトライまで一貫して行うため、加工業務が沈滞するような影響はないとのこと。代わりに、図面の添付がなく公差すらも入っていない、3Dデータだけの金型製作依頼が増えており、この場合、お客さまとノムラ双方が、それぞれの経験則による思い込みで進めてしまうことがトラブルの元になるようです。
詳細確認や、客先の承認を得る手続きは人が関わる部分ですから、今後ますます図面レス化が進んでいくことを踏まえて、いかなる依頼にも柔軟に応じられる「人財育成」に、一層力を注いで行かれることでしょう。心から社員を思う、慈愛のこもったみつ子社長の一言、「ノムラのカラーに染めて育てる」 がとても印象に残りました。
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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