まずはCasono氏のSaviokeが手掛ける、自走式の商品配達ロボット「Relay」だ。現在は米カリフォルニア州の複数のホテルで導入されており、宿泊客からのルームサービスのリクエストに応えている。
使い方は、充電ステーションで待機するRelayの商品格納庫にフロントのスタッフが品物を入れ、本体上部のタッチパネルを使って配達先の部屋番号を入力する。Relayはエレベーターを使って移動することが可能であり、エレベーターが混んでいる場合は乗らずに待機する。ホテル内LAN経由でエレベーター管理システムにアクセスし、停止階を指示する。エレベーターに乗る際は移動スピードを落とし、乗ったあとは人と同じようにドアの方を向くように動作がデザインされている。
配達先の部屋の前に到着すると、システムからホテルの内線システムにつないで部屋の電話を鳴らす。宿泊客がドアを開けるとそれをセンサーで感知し、商品格納庫が開くという仕組みになっている。
外形のデザインについて、アーチ状の背面とへこんだ胸部はロボットの安定性の確保と、視覚的なボリュームの低減効果を狙っている。配色やボディーに引かれたラインを工夫することで、ロボットを初めて見る人でもどこがロボットの正面なのかを直感的に理解できる。
インタラクションデザインのポイントは、Relayの考えていることや気持ちを宿泊客に伝える言葉と表情を持っていることだ。上部のタッチパネルには吹き出しで今何のタスクを遂行しているかが表示される。
タッチパネルには「目」も表示されており、時折瞬きを行う。目を通じて周囲の情報をセンサーで収集しているという事実、ならびに、Relayの感情を表現している。音声については限定的だが、スターウォーズのR2-D2やBB-8のような効果音を感情表現のために使っている。
宿泊客は品物を受け取ったあと、Relayによるサービスの満足度を入力することができるのだが、満足度が高いとRelayは喜びを意味する効果音を発する。Relayのプロトタイプ段階では、よりリアルな目を映像として表示したり、言葉を使った音声コミュニケーションを行ったりしていたが、人に過剰な期待を持たせてしまう、人がセンサーで感知されていることに過剰に反応して恐怖心を抱いてしまうことなどから、今の形に落ち着いた。
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