「製造業のサービス化」が大きく注目される理由には、「IoTによる製品の在り方の変化」があると印出氏は話します※)。
※)関連記事:製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない
「コト売り」が注目される背景には、やっぱり「IoTによる製品の変化」があるのよ。ずっといろいろな話をしてきたけど、IoT化すると製品はどう変わると思う?
うーん。製品の状況をデータとして取ることができるということですかね。
ほぼ正解よ。製品の置かれている環境や稼働状況を常に把握し続けられて、その情報を分析できると、異常が分かったり、その製品がいつ壊れるかが分かったりするわね。これってサービスと結び付けられない?
なるほど! 確かに今までよりも高度なアフターメンテナンスサービスが行えますね。ここでお金が取れるのであれば、確かにこれは「モノ売り」ではありませんよね。
現状では「製造業のビジネスモデル革新」というほど大規模なものではないかもしれませんが、製造業のIoT活用およびサービス化の動きの中で、現在最も活発な動きとなっているのが、こうしたアフターメンテナンスサービスを高度化する取り組みです。具体的には建設機械や工場内の製造装置のような、BtoBの大型機械では特に大きな注目を集めているといえるでしょう。こうした大型機械では、故障による非稼働時間がビジネス価値を落とす大きな課題として認識されているため、これを低減する取り組みとして、「IoT活用による予防保全」に注目が集まっているのです。
確かに工場の装置が止まったり、壊れたりしたら、本当に大変ですからね。無駄を極力減らすような取り組みをしているのに、台無しになりますし。そうしたコストが減らせるのなら、うちの社長もお金出すかもしれません。
まさにその通りよ。製造業のサービス化の中で、予防保全を含むアフターメンテナンスサービスが盛り上がっているのは、費用対効果が見えるから経営者が投資しやすいからなのよ。機器の故障による販売機会損失や損失補填などのコストに対し、どれくらいの投資で、どれくらい故障を減らせるかということが試算できれば、利益が明確ですもの。
なるほど! よく分かりました。社長にもバーンといっておいてやります!
おや、まあ、なんかキャラ変わってない?
さてIoT活用による「製造業のサービス化」の一端として今回は、背景と特に進みが早い予防保全や稼働監視などのサービスについて紹介しました。しかし、今後進むとみられる「第4次産業革命の真価」とされる動きは、この範囲にとどまらず、もっと幅広く今までにないようなものになると見られています。
次回は、引き続きこうした「製造業のサービス化」についてさらに掘り下げて紹介したいと思います。
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