新プラットフォームに合わせて、歩行者保護エアバッグも開発した。海外向けでの採用は未定だが、国内向けのインプレッサには標準搭載となる。対歩行者の事故が多い日本で優先して採用すべきだと判断した。
歩行者保護エアバッグを新たに開発したのは、「乗員だけでなく周囲の人々にとっても安全なクルマにしたいという思いがあるからだ。ボンネットが短いクルマは歩行者と衝突した時に頭部がAピラーにぶつかる可能性が高い。バンパーやボンネットは樹脂化で柔らかくできるが、ピラーは樹脂化できないので歩行者保護エアバッグが必要だった」(富士重工業の説明員)。
歩行者保護エアバッグは、バンパーの内側にある圧力センサーで一定の範囲の衝撃を検知すると展開する。小動物などとの衝突や、車両同士の正面衝突ではエアバッグは作動しない。
バンパーの内側にはチューブが這わせてあり、チューブ内の圧力の変化をチューブ両端の圧力センサーが検出する。この形式の圧力センサーは高温下で反応しやすくなるという欠点があったが、温度センサーと組み合わせて検知精度を高めた。「圧力センサー単体ではエンジンの熱や夏場の暑さで誤作動しかねない。しかし、温度も考慮することで検知精度を確保している」(同社説明員)。
歩行者保護エアバッグは、新プラットフォームでのみ搭載できる。圧力センサーはボッシュが、インフレーターはオートリブが、エアバッグ本体はタカタが供給している。
歩行者保護エアバッグは、Volvo Cars(ボルボ)が2013年に発売したコンパクトカー「V40」に世界で初めて採用された。ボルボと富士重工業の歩行者保護エアバッグの違いは、エアバッグ展開時にエンジンフードが上がるかどうかだ。
「ボルボはエンジンフードをポップアップさせるが、そのためにはエアバッグ用以外にもエンジンフード用のインフレーターが追加で必要になり高コストになる。われわれは標準搭載できるようコストを抑える目的で、エンジンフードは動かさない。コストはボルボと比較して3分の2〜2分の1に削減できたと見ている」(富士重工業の説明員)。
スバル グローバル プラットフォームは、富士重工業が考える“総合安全性能”のうち、衝突安全性能を特に大きく進化させたといえる。10年後を見据えたという成果は、新型インプレッサから順次展開していく。から順次展開していく。
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