ハイブリッド車や電気自動車などをはじめ四輪車(以下、四輪)に広く搭載されるようになっているリチウムイオン電池。これからは二輪車(以下、二輪)向けにも普及していくかもしれない。ホンダが競技用車両に始動用バッテリーとしてリチウムイオン電池を採用。しかし、二輪の始動用バッテリーとして主流なのは、リチウムイオン電池よりも安価で安全性の高い鉛電池だ。リチウムイオン電池は課題を乗り越えて二輪を変えることができるのか。
ハイブリッド車や電気自動車などをはじめ四輪車(以下、四輪)に広く搭載されるようになっているリチウムイオン電池。これからは二輪車(以下、二輪)向けにも普及していくかもしれない。ホンダが競技用車両に始動用バッテリーとしてリチウムイオン電池を採用。その供給元であるエリーパワーは二輪の始動用バッテリーとしてのリチウムイオン電池市場の拡大を見込み、生産ラインを新たに設けた。
現在、二輪の始動用バッテリーとして主流なのは、リチウムイオン電池よりも安価で安全性の高い鉛電池だ。リチウムイオン電池は課題を乗り越えて二輪を変えることができるのか。
エリーパワーが始動用バッテリーとしてリチウムイオン電池の需要を見込むのは、“趣味性が高い二輪”の市場だ。二輪は、道路運送車両法において、排気量ごとに以下のように車両区分が分かれている。
なお、道路交通法では、排気量400cc以上を大型自動二輪と呼んでいる。高速道路を走行できるのは排気量125cc以上となっているので、軽二輪と大型自動二輪を含む小型二輪となる。さまざまな場所への移動を重視する“趣味性が高い二輪”は、高速道路を走行できる、これら軽二輪と小型二輪といえるだろう。
2014年の国内二輪保有台数は1182万台で、56%を原付一種が占めている。その他の車両区分の比率は原付二種が14%、軽二輪が17%、小型二輪が13%となっている。“趣味性が高い二輪”は、実質的には、実質的に保有台数の3割を占めている。
軽二輪と小型二輪は販売台数も底堅い。原付一種の市場は減少が続いて2007年比で規模が半減したが、軽二輪や小型二輪では一部増加傾向がみられる。日本自動車工業会は2016年度も各社のラインアップの充実や新商品効果により、軽二輪で5万3000台、小型二輪は6万8000台と、前年度比約1%増とはいえプラスを見込んでいる。
趣味性が高い二輪は、日常生活で使用しないことも多い。乗る頻度は決して多くなく、冬季は寒さや降雪で長期間動かさないことも考えられる。そうなると起きやすくなるのがバッテリー上がりだ。
二輪の始動用バッテリーは、放置期間が3カ月程度であれば充電して使い続けられるが、メンテナンス不足や放置期間の長さによっては1年未満で使用できなくなることがある。通常でも、2〜3年に一度交換するサイクルだという。
バッテリーは安売りを探せば海外製で5000円以下のものもあるが、5000〜1万円、1万円以上の価格帯も珍しくない。使い捨てにするには安価とはいえず、リサイクルも必要になる。
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