同社では基本的に標準品を販売していますが、特注コンテンツ、追加ハードウェアといったカスタマイズの実績もあるとのことです。過去の特注コンテンツとしては、激突、切創、挟まれ、感電、巻き込まれ、グラインダ作業時の切創や激突、化学薬品などの被液災害などがあるそうです。
よりリアルな体験に近づけるためのデバイスの追加リクエストもあるとのことです。大手化学メーカーの旭化成もユーザーで、被液災害体験で同システムを活用したということです。
被液、感電、玉掛け挟まれ、ロール巻き込まれ……、字面を見ているだけでも怖い事故が並んでいます……。
作業中に人が機械に挟まれる事故のニュースをたまに耳にします。記憶に新しいところでは2016年6月に深谷市で、ペットボトルの圧縮作業中、プレス機に頭を挟まれた作業者が亡くなるという痛ましい事故が発生しています。
このような、機械に挟まれるあるいは巻き込まれる事故に見舞われてしまう方は、程度の大小はありますが、毎年1万人程度いるそうです。2016年5月に厚生労働省が発表した「平成27年の労働災害発生状況」によれば、「機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」」が1万4513人でした。
今、団塊世代の熟練技術者たちが次々と引退を迎え、後に続く新世代の技術者たちがその技術を引き継いでいます。厚生労働省は過去に、団塊世代の大量退職などが安全衛生水準の低下を招く恐れがあると指摘していました。確かに、自動機に慣れた世代は、汎用機をよく使用していた世代よりも「機械の恐ろしさ」の実感は弱いのかもしれません。この感覚は技術者に限らず、一般の方も同様なのではと思います。
製造・加工装置には安全装置が付いています。そうはいっても、作業者が危険を予測し、注意した上で作業に臨むことが前提となります。それに、古い汎用機では安全対策が万全でないこともあります。安全教育の重要性が痛感させられますね。
最近は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用したセーフマスターも納入実績があるとのことです。実際の作業に近い姿勢で危険を体感させる狙いがあると同社は言います。
「これまでのセーフマスターは、錯覚体験を通じて『ヒヤリ・ハット』提示が主な役割でした。これからは『HMDを使用した複数人での共有空間』での「ヒューマンエラー対策訓練」システムを構築していきます」(同社)。
最後に、ツイートされた装置の画像は古いもので、現在は筐体が新しくなっているそうなので、紹介しておきます。
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