アドバンテックがESEC2016で、「10分でARMの世界に」をキャッチコピーとした、ARM&Linuxアーキテクチャの開発を支援する「ARMスターターキット」を展示している。ボードからOS、開発環境、I/Oボード、PssSのAPIまでも含まれたオールインワンパッケージだ。
アドバンテックは「第19回 組込みシステム開発技術展(ESEC2016)」(会期:2016年5月11〜13日)の同社ブースにて、ARM&Linuxアーキテクチャの開発を支援する「ARMスターターキット」を展示している。
これはCortex-A9ないしCortex-A8を中心としたメインボードに、OSとしてのLinuxイメージやGUI開発環境のQTソースコード、評価用スクリプト、サンプルコードといったソフトウェア開発環境をパッケージしたもので、I/Oボードや電源ケーブルなども付属しており、「10分で評価開始」(同社)を実現する内容となっている。
パッケージはNXPのi.MX6をベースとした「ROM-DK7420」(NXP Cortex-A9 i.MX6 Qseven V1.2)、「ROM-DK3420」(NXP Cortex-A9 i.MX6 RTX2.0)と、Texas InstrumentsのSitara AM3352をベースとした「RSB-DK4220」の3種類が用意されており、価格はROM-DK7420が5万2000円、ROM-DK3420が8万円、RSB-DK4220が3万7000円(いずれもオンライン価格、税別)。
いずれのパッケージでもドライバはインストール済みであり、また、ハードウェア設計支援用資料として参考回路図やチェックリスト、モジュール/コネクタの3Dデータが付属し、検証済みのBSP(Board Support Package)やPssS「WISE-PaaS/RMM」のAPIも付属している。なお、OSについてはLinuxが標準となるが、Androidについても対応するとしている。
また、ブースではロボットアームの予防保全を、PaaS「WISE-PaaS」とAE(アコースティック・エミッション)センサーなどの組み合わによって実現するデモンストレーションも実施されている。
これはロボットアームの状態異常(可動部分劣化)を、動作音の変化としてAEセンサーで弾性波として把握して見える化し、さらにはクラウドで学習することで予防保全に役立てるというものだ。
ロボットアームの予防保全をアクチュエータの状態把握ではなく、「ロボットアームの動作音変化」という角度から行うことで、より人の感覚に近い状態把握や、非破壊検査のIoT化、後付けによる見える化を可能にする。
同社と日本IBM、東芝ストレージ&デバイスソリューション、三井物産エレクトロニクス、信和産業、日本フィジカルアコースティックスの協業によるものであり、デモシステムでは同社のDust対応ゲートウェイ「WISE-3310」が用いられていた。AEセンサーを受けてDustネットワークにて発信するセンサーノードボードは東芝が手掛ける。
デモンストレーションはロボットアームの予防保全だが、音響による非破壊検査のIoT化としての導入が可能であることから、同社ではFA機器を始めとした生産設備や橋梁などの遠隔監視、堤防や斜面の危険性評価などでの利用を見込むとしている。
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