i-PROはメディア向けにエッジAI勉強会を開催し、クラウド処理との違いや優位性を解説した。現場での推論とクラウド学習を組み合わせた戦略や、生成AI活用など将来展望を紹介した。
i-PROは2026年1月26日、東京都港区のi-PRO東京本社&ショールームにおいて、エッジAI(人工知能)のメディア向け勉強会とショールーム見学会を開催した。映像監視ソリューションメーカーの視点から、従来型のクラウドAI処理と比較し、エッジAIがもたらす技術的優位性や実装課題、将来展望について解説した。
従来、監視カメラシステムにおけるAI活用では、カメラなどのエッジ機器を映像の入力デバイスとして扱い、高度な処理はクラウド側で行う構成が一般的であった。対して、エッジAIのアプローチは、映像の分析や推論といったAI処理をカメラ本体(エッジデバイス)内部で完結させるものである。カメラ内で画像認識を行い、解析結果のみをデータとして抽出。サーバ側へはこの軽量なデータのみを送信する。
i-PRO 最高技術責任者の野口英男氏は、「クラウドAIと比較した際、エッジAIの優位性は『通信コスト』『即時性』『プライバシー保護』の3点においてメリットがある」と語る。
コスト面では、データ送信量を解析結果のみに絞ることでデータ量を節約し、通信コストを低減する。即時性においては、通信遅延の影響を受けづらいため、工場の危険エリア侵入や介護施設での転倒などの事象に対し、その場でアラートなどを発することができる。また、生の映像データを外部に出さず、カメラ内部で特徴量データとして処理することで、顔画像などの個人情報漏えいリスクを最小限に抑えられる点も、プライバシー保護の観点で大きなメリットとなるという。
一方で、導入時の初期コストは、高性能なAIプロセッサを搭載する分、非搭載のカメラと比較して高額になる傾向がある。また処理能力においても、潤沢な計算リソースを利用できるクラウドとは異なり、デバイスのハードウェア性能による物理的な制約を受けるため、大規模な演算処理には不向きという側面も持つ。
i-PROは、こうしたエッジAIの特性を生かしつつ、計算リソースを要する再学習プロセスにクラウドを活用するハイブリッド構成の「MLaaS(Machine Learning as a Service)」を展開している。
現場に設置されたカメラ(エッジ)内でAIによる推論処理を実行するが、その過程でAIが判断に迷った映像や、誤検知が発生したデータを自動的に抽出。クラウド側では、潤沢なGPUリソースを用いて正解ラベルを付与し、モデルの修正と強化を行う。精度を高めた新たな推論モデルをカメラへ配信/更新することで、設置当初は光の加減や背景といった環境要因で十分な精度が出なかった場合でも、運用を通じて現場に特化した最適化が可能となる。
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