パイオニアは、急ブレーキが多発した地点をまとめた日本全国のデータの有償利用を受け付ける専用Webサイトを開設した。急ブレーキの記録は、同社独自のプローブデータ活用システム「スマートループ」を通じて、2006年5月から蓄積しているもの。交通安全対策として道路形状や周辺環境の分析での応用を見込んでいる。
パイオニアは2016年4月11日、急ブレーキが多発した地点をまとめた日本全国のデータの有償利用を受け付ける専用Webサイトを開設したと発表した。急ブレーキの記録は、同社独自のプローブデータ活用システム「スマートループ」を通じて、2006年5月から蓄積しているもの。急ブレーキが多発した地点を、事故が起きる可能性が高いポイントとして地図上に表示することで、道路形状や周辺環境の分析に応用できるとしている。データを購入できるのは交通安全対策を目的とする官公庁や企業、大学など研究機関に限られる。価格は1都道府県の1年間のデータで30万円から。
交通事故情報ではなく急ブレーキ多発地点のデータを提供するのは、交通事故と比べて発生頻度が高く、交通事故との相関が強いためだ。交通事故の発生場所は毎年ばらつきがあり、事故の原因と道路環境の因果関係を分析しにくい。しかし、急ブレーキ多発地点は道路環境に依存して集中して発生する傾向があるため、急ブレーキ多発地点のデータを基にすれば道路の改善の検討や交通事故対策を進めやすくなるという。
スマートループは、2006年にパイオニアが立ち上げた道路交通情報を共有するシステムで、「サイバーナビ」「楽ナビ」といった同社の市販向けのカーナビゲーションシステムに搭載している。通信モジュールが付属したスマートループ搭載製品から走行履歴や速度を収集することにより、精度の高い渋滞情報を提供する「スマートループ渋滞情報」などのサービスを展開している。
急ブレーキ多発地点は、収集した走行履歴のうち、速度変化と走行距離を基に0.3G以上の減速度が算出された場所だ。急に大きく速度低下する状態が終了した地点を検出しており、ドライバーが減速する要因に近い地点が分かる。データの細かさは100mメッシュで、100m四方に相当する。車線単位での急ブレーキ行動は分析できない。将来的には、急ブレーキ前後の運転行動のデータについても提供できるよう検討していく。
急ブレーキ多発地点のデータは都道府県単位の区域分けで提供する。高速道路と一般道を分離して分析することが可能で、2006年5月以降のデータを1週間から1年間に渡る集計期間で指定できる。車種やドライバーの属性は提供するデータに含まれていないが、さまざまな自動車メーカーの車種から収集している。
従来も、パイオニアに対して急ブレーキ多発地点を含むプローブデータの提供依頼が多数あり、その都度対応する形をとっていた。今回、急ブレーキ多発地点のデータ利活用のメリットや申し込みを受け付けるフォームをWebサイト上で紹介することとした。
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