日産自動車 Nissan第二製品開発本部 Nissan第二製品開発部 車両開発主管の東倉伸介氏も「自動運転(の時代)は将来やってくるだろう。ただ、自動運転技術のためのデバイス開発など、毎年“How”ばかりに突っ走るのは(メーカーとしては)良くない」とくぎを刺す。
同氏は納豆をつかむ箸の写真を示しつつ「手で食べてもいいが、ぬるぬるして嫌だと思えば箸を使う。ボタンを押したら誰かの手で自分の口に運んでほしいという人もいるかもしれない。ただ、口の位置と口が開いているのを判断して、適切な速度で運んで、口に入れたら箸を抜くという動作も必要になる」と述べた。
箸、すなわちクルマを自分の手で動かすか、全自動にしたいかに関わらず「われわれとしては、お客さまがどうやりたいか、お客さまにとって何が喜びかっていうのを忘れてはいけない」という点を強調する。「それを忘れてモノの開発だけに走ってもらっては困る」(同氏)。
ホンダの軽スポーツオープンカー「S660」の車両開発責任者を務めた27歳の気鋭、本田技術研究所 四輪R&Dセンター LPL室 S660 LPLの椋本陵氏も「交通事故のない社会、個人が自由に移動する喜び、この両立のための技術として自動運転があるのかなと思っている」と話し、自動運転がS660のようなスポーツカーを否定するものではないと考えている。
三菱自動車で「ランサーエボリューションVIII/IX/X」の評価を担当した商品戦略本部 商品企画部 エキスパートの布野洋氏は、「自動運転車は疲労が少ない。遠くに行った時に出先で楽しむ範囲が広がったりもする。スポーツカーで運転を楽しみたいのは当然だが、気分もあるし、年がら年中楽しむばかりではない。その(気持ちに合わせた)切り替えをきちんとしながら使っていくことに意味があるのでは」とコメントした。
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