トヨタ自動車は、「2016 International CES」の開催に合わせて、携帯電話通信を用いたインターネット接続によってクルマが「つながる」技術を推進するための施策を発表した。
トヨタ自動車は2016年1月4日、消費者向けエレクトロニクス展示会「2016 International CES」(2016年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)の開催に合わせて、携帯電話通信を用いたインターネット接続によってクルマが「つながる」技術を推進するための施策を発表した。米国市場を皮切りに車載通信機(DCM:データコミュニケーションモジュール)の搭載率を高めていく他、DCM搭載車の増加に対応するITインフラとしてトヨタビッグデータセンター(TBDC)を構築する。また、カーナビゲーションシステムなどの車載情報機器でスマートフォンアプリを利用する際の安全性確保やユーザーの情報保護のために、ベンチャー企業のUIEvolutionと共同で標準ミドルウェアを開発する。
DCMの普及については、米国市場で2017年以降のモデルチェンジから搭載率を高めるための施策を展開。その後、米国以外にも対象地域を拡大し、クルマの「つながる」化を推進する。DCMの搭載率向上によって収集したデータは、製品開発やアフターサービスに活用していく。
なお、DCM搭載を推し進める具体的な施策としては、DCM搭載車両が交通事故に巻き込まれてエアバッグが展開すると当時に緊急通報するシステムを標準設定する計画。日本国内では「ヘルプネット」として知られているサービスだ。
DCM搭載率率向上に伴う膨大なデータ処理を行うためにITインフラを大幅に機能拡張する。トヨタ自動車の車載情報機器向けサービスなどを統括するトヨタスマートセンター(TSC)内にTBDCを構築し、高度なセキュリティ管理およびユーザーの個人情報保護のもと、DCMから収集されるデータの解析、活用、各種サービスへの展開を行う。
現在DCMは国や地域で仕様が異なる。これを2019年までにグローバルで共通化し、順次切り替えていく。そのために、DCM通信をグローバルに集約管理する機能をトヨタ・スマート・センターに付加する。
クルマが「つながる」ための通信手段としては、自動車にあらかじめ組み込んでおくDCMの他に、スマートフォンの利用も想定されている。このスマートフォンのアプリを車載情報機器で安全/安心に利用するための標準ミドルウェアも開発する。
標準ミドルウェアを共同開発するUIEvolutionは、トヨタ自動車が米国市場で展開している、スマートフォン連携機能を持つ車載情報機器「entune」などに技術採用された実績を持つ。また、UIEvolutionは2016年1月5日、トヨタ自動車などが出資する未来創生ファンドから500万米ドルの資金調達を実施したことを発表している。
今回の共同開発により、UIEvolutionは、車両データを用いたスマートフォンアプリを開発したり、そのサービス環境を、トヨタ自動車が認証した外部のサービス/アプリなどの事業者に提供したりすることが可能になる。
トヨタ自動車は、この標準ミドルウェアの開発によって、DCMだけでなく、スマートフォンによってクルマが「つながる」場合でも、高度なセキュリティ環境下でのスマートフォン連携サービスを提供できるようになる。
トヨタ自動車 専務役員の友山茂樹氏は「急速な進化を続けるITを積極的に取り入れることで、クルマはこれまでにない価値を提供し続けることができる。中でも、当社として大切にしたいのは、『つながる』化を通じて、全てのお客さまに安心、安全で便利なモビリティライフをご提供することである」と述べている。
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