図.2は有意水準5%の両側検定の場合の、採択域と棄却域をグラフ化したものです。
両側5%の場合は、「検定統計量 < -1.96」、または、「検定統計量 > 1.96」に入るならば(グラフの赤い部分に入るならば)、帰無仮説は棄却されることになり、「王様の耳は国民の耳とは違う(ロバの耳かネズミの耳かはさておき)」であると判断できます。一方、「-1.96<検定統計量 < 1.96」の場合、帰無仮説を採用するため、「王様の耳は国民と同じ」となります。
右片側検定の場合、採択域と棄却域は次のようになります。両側検定と同様に、赤い部分に入っていれば、帰無仮説を棄却でき、白い部分に入っていると帰無仮説が採択されます。すなわち、「王様の耳は国民の耳より長く、ロバの耳である」と判定できるのです。
左片側検定の場合は、次のようになります。よって、統計量<-1.645の場合ならば、帰無仮説を棄却でき、そうでなければ帰無仮説を採択します。
プロセス改善効果を分析することは重要なことですが、全データから分析を行うことは意外と困難です。今回は、限られたデータを使用した母平均の差の検定の理論的な部分を説明しました。実際に適用する際には、データの数、データの分布、統計式、対応の有無などを考慮する必要があります。
次回は、例題を用いて作業手順を紹介します。
『例題で学ぶ初歩からの統計学 第2版』 (白砂堤津耶 著、2015年、日本評論社)
『統計と確率ケーススタディ30―基礎知識と実戦的な分析手法』 (ニュートンムック Newton別冊)
『Excelで学ぶ統計解析入門 Excel2013/2010対応版』 (菅民郎 著、2013年、オーム社)
東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士)
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