インフィニオンは現在、2019年をめどに第3世代のSiGeベースMMICを開発中である。周波数上限を従来比2倍の400GHzに高めて発熱をさらに抑えたMMICとともに、制御用マイコン、電源ICなどをチップセットとして提供する計画である。この第3世代でも、システムコストをさらに30%削減できる見込みだ。
2022年以降に計画している第4世代では、SiGeプロセスではなく、一般的なSi-CMOSプロセスを採用し、全ての要素を1チップに集積したい考えだ。もちろん、第4世代でも、第3世代よりシステムコストを30%削減することが目標になる。
ボナフェルド氏は「単眼の車載カメラを使う運転支援システムと、77GHz帯のミリ波レーダーとを使う運転支援システム、両方を扱っている顧客から聞いた話だが、既に77GHz帯のミリ波レーダーの方が安価になっているという。既にこれだけのコスト競争力がある上で、今後もシステムコストを削減できる道筋を当社が示しているので、自動運転車にも引き続き77GHz帯のミリ波レーダーは採用されていくだろう」と述べている。
この他、自動運転技術で欠かせないドライバー監視用のセンサーとして3D距離画像センサー「REAL3」がインフィニオンのラインアップに加わった。LED光源を用いるTOF(Time of Flight)方式のセンサーで画素数は10万、検知距離は10~20m。ドライバーの頭の位置や回転、眼の開閉の状態を検知する。
自動運転技術のレベル3以上になると、高速道路や駐車場などの限定された地域での自動運転が可能になる。ただし自動運転ができるといっても、ドライバーは運転に責任を持って、車両の周囲に気を配らなければならず、万が一の時には運転を手動で行わなければならない。ドライバー監視は、そういった対応が可能かどうかを確認するための機能になる。また頭の位置を正確に検知するので、ヘッドアップディスプレイの表示位置を自動で合わせたりする機能にも適用できる。車載情報機器やカーエアコンのジェスチャー操作も可能になる。
インフィニオンはドイツのティア1サプライヤであるKostal(コスタル)と共同して、REAL3を用いた車載システムの開発を進めている。早ければ2018年にも新車に搭載される見込みだ。
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