77GHz帯ミリ波レーダーがどんどん安くなる、「単眼カメラよりも安価」 : 車載半導体 (3/3 ページ)
インフィニオンは現在、2019年をめどに第3世代のSiGeベースMMICを開発中である。周波数上限を従来比2倍の400GHzに高めて発熱をさらに抑えたMMICとともに、制御用マイコン、電源ICなどをチップセットとして提供する計画である。この第3世代でも、システムコストをさらに30%削減できる見込みだ。
2022年以降に計画している第4世代では、SiGeプロセスではなく、一般的なSi-CMOSプロセスを採用し、全ての要素を1チップに集積したい考えだ。もちろん、第4世代でも、第3世代よりシステムコストを30%削減することが目標になる。
インフィニオンのミリ波レーダー向けMMICのロードマップ。中央の円グラフは、77GHz帯、24GHz帯を含めてミリ波レーダー向けMMICの世界シェアである(クリックで拡大) 出典:インフィニオンテクノロジーズジャパン
ボナフェルド氏は「単眼の車載カメラを使う運転支援システムと、77GHz帯のミリ波レーダーとを使う運転支援システム、両方を扱っている顧客から聞いた話だが、既に77GHz帯のミリ波レーダーの方が安価になっているという。既にこれだけのコスト競争力がある上で、今後もシステムコストを削減できる道筋を当社が示しているので、自動運転車にも引き続き77GHz帯のミリ波レーダーは採用されていくだろう」と述べている。
この他、自動運転技術で欠かせないドライバー監視用のセンサーとして3D距離画像センサー「REAL3」がインフィニオンのラインアップに加わった。LED光源を用いるTOF(Time of Flight)方式のセンサーで画素数は10万、検知距離は10〜20m。ドライバーの頭の位置や回転、眼の開閉の状態を検知する。
3D距離画像センサー「REAL3」の概要(クリックで拡大) 出典:インフィニオンテクノロジーズジャパン
自動運転技術のレベル3以上になると、高速道路や駐車場などの限定された地域での自動運転が可能になる。ただし自動運転ができるといっても、ドライバーは運転に責任を持って、車両の周囲に気を配らなければならず、万が一の時には運転を手動で行わなければならない。ドライバー監視は、そういった対応が可能かどうかを確認するための機能になる。また頭の位置を正確に検知するので、ヘッドアップディスプレイの表示位置を自動で合わせたりする機能にも適用できる。車載情報機器やカーエアコンのジェスチャー操作も可能になる。
インフィニオンはドイツのティア1サプライヤであるKostal(コスタル)と共同して、REAL3を用いた車載システムの開発を進めている。早ければ2018年にも新車に搭載される見込みだ。
大衆車にも求められる「予防安全」
自動車の予防安全システムに用いられているセンサーのうち、事故回避に最も役立つものがミリ波レーダーである。この車載ミリ波レーダーについては、現在、大衆車にも広く搭載できるように低価格化を図るべく開発が進んでいる。本稿ではまず、車載ミリ波レーダーの特性や、使用されている周波数帯域に関する各国/地域の法規制について説明する。その上で、大手ティア1サプライヤや送受信ICを開発する半導体メーカーによる低価格化に向けた取り組みを紹介する。
ミリ波レーダーSiGeチップ2社が大手ティア1サプライヤと連携、ADASをより安価に
自動車の先進運転支援システム(ADAS)のセンサーの1つに、77GHzの周波数帯を用いるミリ波レーダーがある。この77GHz帯ミリ波レーダーの低価格化をけん引する、SiGe(シリコンゲルマニウム)プロセスを用いた送受信ICを手掛ける半導体メーカー2社が、それぞれ大手ティア1サプライヤと連携して、さらなる普及を目指そうとしている。
自動運転時代に向け車載CMOSセンサーの画素数が2倍に、LEDフリッカーも抑制
オン・セミコンダクターは、次世代の先進運転支援システム(ADAS)向けとなるCMOSイメージセンサーの新製品「AR0231AT」を発表。画素数が230万と従来品の2倍になるとともに、高度なハイダイナミックレンジ(HDR)機能と、LEDを使う信号機や交通標識の撮像を難しくするLEDフリッカーの抑制機能も備える。
パイオニアが自動運転車向け3Dライダーの小型化に注力、「価格も1万円以下に」
パイオニアは「東京モーターショー2015」において、自動運転車で主要な役割を果たすセンサーとして期待されている3Dライダーの大幅な小型化を図るとともに、現在数百万円ともいわれる価格を1万円以下にするという目標を打ち出した。
欧州の自動車CO2排出量規制に“抜け道”あり――インフィニオンが示唆
車載半導体大手のInfineon Technologiesでエレクトリックドライブトレイン担当シニアディレクターを務めるマーク・ミュンツァー氏は、「欧州の自動車二酸化炭素(CO2)排出量規制はさらに厳しくなっていくが“抜け道”と言っていい対応策がある。それはプラグインハイブリッド車の開発だ」という見解を述べた。
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