内視鏡的粘膜下層剥離術用ディスポーザブル高周波ナイフ医療機器ニュース

富士フイルムは、患者の身体的負担が少ない低浸襲治療の1つである「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」用処置具として、ディスポーザブル高周波ナイフの新製品を発表した。細径化により、体液などを鉗子口から吸引する性能が従来品よりも向上した。

» 2015年10月28日 08時00分 公開
[MONOist]

 富士フイルムは2015年10月5日、患者の身体的負担が少ない低浸襲治療の1つである「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」用処置具として、ディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife BT-S」を発表した。富士フイルムメディカルを通じて2015年11月16日より発売される。

 近年、食道・胃・大腸など消化器疾患の分野において、粘膜下層を切開・剥離するESDのような、患者の身体的負担が少ない低侵襲治療が注目されている。特に胃がんに対する治療としてESDは年々増加しており、半数近くに達しつつあるという。ESDでは、手元操作でスコープ先端と処置具を正確にコントロールしながら、処置具の先端部に高周波電流を通電させて病変部を切開・剥離するなど、非常に高度な技術が要求されるため、より処置性、操作性が高い処置具が必要とされている。

 FlushKnife BTシリーズは、通電により病変部の粘膜下層をスムーズに切開・剥離できるESD用処置具だ。ナイフの先端にボールチップを搭載することで、病変部に引っかけやすく、また高い送水機能も備えている。

 今回発売されるFlushKnife BT-Sは、手元部のシース径(本製品を覆う外側の被覆部)を従来のFlushKnife BTシリーズよりも1割以上細くしたものだ。鉗子口径に占めるシース径の割合を小さくすることで、治療時に鉗子口から吸引した体液などが通る空間が拡がって、スムーズに流れるようになり、吸引性能の向上が期待できる。

 一方で、先端径は細径化せず、従来シリーズと同じ太さを維持することで、鉗子口

から本製品を突出させて使用する際の鉗子口内でのブレを抑え、手技の効率を良くする。ナイフ先端からの送水で、ナイフに付着した病変などの組織を手技の途中で洗浄してナイフの切れ味を維持する送水機能も搭載した。また、消化管内の粘液や出血を送水により除去できるため、病変の処置効率も向上するとしている。

 さらに、内視鏡の鉗子口から体腔内へ挿入可能な長さを従来シリーズの1800mmから2000mmに延長。上部消化管用のスコープに加え、挿入部が長い大腸スコープなど下部消化管用スコープでの処置にも使えるようになった。

 FlushKnife BT-Sは、ナイフ部長が1.5mm、2.0mm、2.5mm、適用鉗子口径が2.8mm以上、適用内視鏡有効長が1700mm以下となっている。標準価格は2万9800円(税別)だ。

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