今回は「非破壊評価総合展2009」の展示内容を紹介。日本非破壊検査協会のキャラクター「ノンディ」や古い検査装置も登場する
2009年11月18〜20日の3日間、東京ビッグサイトで日本能率協会主催の「ものづくりNext↑」が開催された。このイベントは5種類の専門展示会で構成される。その専門展示会の1つ「非破壊評価総合展2009」の会場にて、18日の午前中、日本非破壊検査協会はイメージキャラクターを初披露した。一般層や若年層への認知と親近感を喚起し、非破壊検査という分野の活性化を狙う企画だという。
非破壊検査という漢字が続く難い表現や、「破壊」というネガティブな言葉が入っていることで、一般層からイメージ的にも敬遠されやすい(「怖い」と思われる)と同協会では考えた。そこで、思い切ったイメージ戦略に着手したとのことだ。
キャラクターコンセプトとしては、親近感と分かりやすさを重視し、いわゆる“ゆるきゃら”となった。気になる名前は「NDI&E(Non Destructive Inspection&Evaluation)」が由来の「ノンディ(NONDIE)」。 会場では、ノンディグッズ(クリアファイルやシール)も配布された。
ノンディは「ヒハカイ星」出身で、特技も非破壊検査。ただし、両親から譲り受けた「赤い炎のマント」をまとっているとき限定の能力のようだ。検査を通じて、星に住む人の安全で平和な暮らしを守ることがミッションだ。「地球上のあらゆる物を検査する」とのことなので、おそらくは、あらゆる検査方法に精通している(マント装着時)と思われる。ノンディは、地球上の機械たちにとっては、ドクター的存在といえる。
両親が大好きで、泣き虫でおとなしい。だけど正義感は人一倍強いそう。何だか、頼りになるのか、ならないのかよく分からない!? が、やる気まんまんであることは間違いない。
さて今回は、そんなノンディの活躍を陰で支える企業たちのブースを紹介しよう。
非破壊検査とは、いうまでもなく、物を壊すことなく部品や装置の破損や劣化を検出する検査手段のことだ。サンプル部品を破壊して観察しなくてすむため、コストも安くつく。また現在の技術では、従来の破壊試験では不可能だった部品や材料内部の破損やナノオーダーの傷などの検出ができ、やがてユーザーに渡ってからの重大なエラーを起こしかねない原因を事前に解消することも可能となった。
非破壊検査は原子力発電所やプラント、航空機のほか、自動車の検査でも活躍している。人の命を預かる分野においては、非常に重要な検査だといえる。その検査方法も多岐に渡っている。また検査に使われる装置の技術は、私たちが医者にかかったときに見かける技術と隣り合わせであることが多いのも特徴だ。
オリンパスは1949年から東京大学とともに、上部消化管内視鏡、通称・胃カメラの開発を開始した。以来、同社の医療用内視鏡は胃だけではなく、ほかのさまざまな消化管も調べられるようにと、どんどん進化・派生していった。人がカメラを飲み込みやすいよう、ファイバー部を柔らかく細くする、あるいはカメラそのものを小さくしていき、2007年にはカプセル型のものまで現れた。
その医療用内視鏡から派生したのが、工業用内視鏡だ。こちらは、もちろん医療用とは違い、コードには丈夫なワイヤ線を使用する。狭い個所を潜り抜けやすいよう、カメラ部に近い先端は柔らかくしなり、手元にくるほど硬くなるようになっているそう。工業用ビデオスコープの新製品「IPLEX LX」は、装置筐体のサイズダウン(記事執筆時点、IPLEXシリーズ中最軽量)がポイント。例えば、高所で作業する人の携帯性に配慮されているという。この製品は、できるだけ幅広いユーザーに使用してもらうことを目的としている。
ユーザーは米国では航空・宇宙、日本国内では自動車が多いとのことだ。自動車開発ではエンジン内部を観察する場合などに使用する。自動車におけるがん、いわゆるリコールの原因となるエラーの早期発見へとつながるわけだ。
ほかに、顧客の要望によりカスタム品の開発も行っているとのことだ。
「tribology」(トライボロジ、潤滑学)に由来する社名のトライボテックス。同社のトライボ診断とは、人間でいう血液検査みたいなもので、機械の血液ともいえる潤滑油を検査し、機械がどのような状態かを診断するという。装置内の油をサンプリングすれば検査ができるので、検査のために設備の稼働を停止させずにすむ。
潤滑油の状態(粘性、汚染、劣化など)と併せ、油中に含まれる摩耗粒子の状態(形状や分布など)から機械の軸受けやギアなどの摩耗状態を予測する。採取したさまざまなパラメータを用いて、同社独自の基準に基づき検査をする。
同社の顧客は電力会社や航空、船舶、鉄道分野などにおよぶ。
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