4代目「プリウス」燃費は米国で10%向上、リヤサスはダブルウィッシュボーンに : エコカー技術 (2/2 ページ)
今回の発表は車両デザイン関連の情報が中心になっていた。JC08モードで40km/l(リットル)を達成すると言われている燃費については、あまり多くの情報は公開されていない。
まずTNGAベースのハイブリッドシステムについては、エンジン、トランスアクスル、モーター、電池パックといった各ユニットを、よりコンパクトに、そして軽量化したとしている。これまでのハイブリッドシステムのエンジンは熱効率が約40%だったが、今回は「40%以上」(同社)をうたっており、41〜42%になっているとみられる、
トヨタ自動車のエンジン熱効率。ハイブリッド車のエンジンでは約40%まで高めていたが、新型「プリウス」のエンジンはこれをさらに上回るとみられる(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
モーターやトランスアクスルについては言及がない。電池パックは「より高いエネルギー密度」(同社)と表現されており、従来のニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変更している可能性が高い。
燃費については、新型プリウスの中核モデルでは、米国環境保護庁(EPA)基準の燃費性能で「10%の向上が期待できる」としている。現行のプリウスのEPA燃費(複合モード)が50mpg(マイル/ガロン)なので、新型プリウスは55mpgになるとみられる。
一方、国内モデルの場合、現行のプリウスのJC08モード燃費は、最も安価な「Lグレード」が32.6km/l、他のグレードが30.4km/lである。もし10%向上するとしても、Lグレードで36km/l程度、他のグレードでも34km/l程度にしかならない。なお、各種報道によれば、新型プリウスの最軽量グレードはJC08モード燃費で40km/lを達成していると言われている。
その他の公開情報として興味深いのが、「操縦安定性・乗り心地の向上」に関わるサスペンションである。3代目プリウスのリヤサスペンションは安価なトーションビーム式だったが、新型プリウスでは新開発のダブルウィッシュボーン式に置き換えられているという。
新型「プリウス」の燃費40km/l、TNGAハイブリッドだけでは届かない
トヨタ自動車が2015年に市場投入する「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を導入した新型車の代表例として、各種報道で挙げられているのが4代目となる新型「プリウス」だ。新型プリウスはJC08モード燃費が40km/lを上回るといわれているが、TNGAベースの新開発のハイブリッドシステムだけではその燃費は実現できない。
「プリウス」の進化を支えた開発マネジメントの裏側
FTF Japan 2014の基調講演にトヨタ自動車 ユニットセンター副センター長 モータースポーツユニット開発部 統括取締役で専務役員の嵯峨宏英氏が登壇。同氏は「プリウス」や「アクア」に代表されるトヨタ自動車のハイブリッド車開発に向けた取り組みと、その開発体制の変遷について語った。
トヨタの新開発アトキンソンサイクルエンジン、「マツダやホンダより高性能」
トヨタ自動車が開発した「高熱効率・低燃費エンジン群」は、同社がハイブリッド車専用エンジンに採用しているアトキンソンサイクル化や高圧縮比化の技術を、通常のガソリンエンジンにも適用したものだ。しかし、走行モーターを使わない通常のガソリンエンジンに求められる走行性能を確保するには、さまざまな工夫が必要だった。
3代目「プリウス」、ハイブリッドシステムのコストを2/3に削減
トヨタ自動車は2009年5月、ハイブリッド車「プリウス」の3代目モデルを発売した。同モデルのハイブリッドシステムには、2003年に発売された2代目プリウスの「THS(Toyota Hybrid System) II」に対して90%以上の部分を新開発した「リダクション機構付のTHS II」を採用した。
トヨタのハイブリッド車が燃費を10%向上、次世代パワー半導体の採用で
トヨタ自動車とデンソー、豊田中央研究所の3社は、従来のSi(シリコン)パワー半導体よりも高効率のSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を共同で開発した。トヨタ自動車は、ハイブリッド車のパワーコントロールユニット(PCU)に採用することで燃費を10%向上したい考えだ。
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