スズキのステレオカメラは「アイサイト」と0.2ポイント差、違いは“熟成度”:安全システム(4/4 ページ)
ここまで見てくれば分かるように、デュアルカメラブレーキサポートはアイサイト(ver.2)とほぼ同じ機能であり、アイサイト(ver.3)がはるかに多機能であることは一目瞭然だ。
ただし価格(税抜き)は、デュアルカメラブレーキサポートが7万円で、アイサイトはアイサイト(ver.2)、アイサイト(ver.3)とも10万円である。価格面では、デュアルカメラブレーキサポートが一歩リードしている。
このようなアイサイトとデュアルカメラブレーキサポートの差は、ステレオカメラを使った運転支援システム開発の“熟成度”の違いによるところが大きい。富士重工業は、1999年9月に「ADA(Active Driving Assist)」として商品化してから15年以上の歴史があり、その間にさまざまな苦難がありながらも、アイサイトとして花開かせることに成功した(関連記事:開発中止の危機を乗り越えヒット商品に、「EyeSight」成功の原動力とは)。
特に、デュアルカメラブレーキサポートにない、全車速追従機能付クルーズコントロールやレーンキープアシストなどのステアリング制御が関わる機能は、ステレオカメラが同じサプライヤだったとしても簡単に開発できるものではない。
スズキにとって、ステレオカメラを使うデュアルカメラブレーキサポートの歴史はまだ始まったばかり。サプライヤである日立オートモーティブシステムズなどの協力を仰げば、富士重工業ほどに長い開発期間をかけなくても熟成度は高めていけるだろう。
2016年以降に登場するであろうデュアルカメラブレーキサポートの新バージョンでは、軽自動車初のステレオカメラによるアダプティブクルーズコントロールの実現を期待したいところだ。
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富士重工業が、「レガシィ ツーリングワゴン」の後継モデルとして開発した「レヴォーグ」。排気量1.6lのDITエンジン搭載モデルは「1タンク1000km」の走行が可能なエコ性能を持ちつつ、走行性能も十分。第3世代「アイサイト」の機能もちょっとした自動運転レベルで、スゴいクルマに仕上がった。
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