アイサイト(ver.3)は2014年6月発売のレヴォーグから採用が始まった運転支援システムだ。それまでのアイサイト(ver.2)と比べて、ステレオカメラの認識範囲拡大とカラー化を図るなどして大幅に機能を強化されている。JNCAPで満点の46点を達成しているのは、全てアイサイト(ver.3)を搭載する車両だ。
まずは、アイサイト(ver.3)の基になるアイサイト(ver.2)の機能をみていこう。実は、アイサイト(ver.2)には、デュアルカメラブレーキサポートと同等の機能が搭載されている。衝突被害軽減システムは「プリクラッシュブレーキ/プリクラッシュブレーキアシスト」、誤発進抑制機能は「AT誤発進抑制制御」、車線逸脱警報機能は「車線逸脱警報」、ふらつき警報機能は「ふらつき警報」、先行車発進お知らせ機能は「先行車発進のお知らせ」と名称が異なるだけで、機能はほぼ同じと言っていい。
ただし、プリクラッシュブレーキ/プリクラッシュブレーキアシストについては、前方車両との速度差が時速約30km以下であれば衝突を回避、速度差が時速約50km以下であれば衝突被害を軽減できるとなっており、デュアルカメラブレーキサポートの衝突被害軽減システムとは表現が異なっている。
またアイサイト(ver.2)は、時速0〜100kmの走行速度範囲で動作する「全車速追従機能付クルーズコントロール」も備えている。これは、デュアルカメラブレーキサポートにはない機能だ。
アイサイト(ver.3)では、アイサイト(ver.2)から従来機能の改良と新機能の追加が行われた。プリクラッシュブレーキ/プリクラッシュブレーキアシストは、動作する速度範囲を拡大し、衝突回避可能な速度差を時速約50km以下に、衝突被害を軽減する速度差を時速約70km以下と、動作範囲をそれぞれ時速約20km分拡大している。
走行中の道路上の白線を認識して車線を検知する機能では、車線逸脱警報の他、車線を逸脱しないように部分的にステアリング制御を加える「レーンキープアシスト」が加わった。レーンキープアシストには、アダプティブクルーズコントロールの動作中で走行速度が時速約65km以上の場合に車線内の中央を維持するようステアリングの自動操舵を行う「車線中央維持」と、走行速度が時速約65km以上の場合に方向指示器などの操作を行わずに車線からはみ出しそうになるとステアリングにトルクを加えて車線内側方向に戻るような操舵制御を行う「車線逸脱抑制」がある。
さらに、前方障害物と衝突可能性が高いと判断した場合に、横滑り防止装置と連携した車両統合制御技術により、ドライバーの衝突回避操舵をアシストする「危険回避アシスト」なども加わっている。
また全車速追従機能付クルーズコントロールについても、ステレオカメラのカラー化によって、先行車両のブレーキランプの点灯状態を検出できるようになり、従来よりもスムーズで安心感のある減速が可能になった。
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