富士通とインテルはIoT基盤で協業することを発表した。インテルのIoTゲートウェイと富士通研究所の分散サービス基盤技術を組み合わせ、製造現場や流通、公共サービスなどへの展開を目指す。
富士通とインテルは2015年5月13日、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤で連携することを発表した。富士通研究所の分散サービス基盤技術とインテルのIoTゲートウェイを組み合わせ、最適なIoT基盤を提供する計画。製造、流通、公共の3分野での展開を目指し、PCなどの生産を行う島根富士通で同年5月から実証実験を開始した。
インテルは、IoT導入のリファレンスプラットフォーム「インテル IoT プラットフォーム」を展開(関連記事)するなど、IoTの導入促進を進めている。一方で、富士通はさまざまなICTの展開で培った技術力や、社内実践で得た知見などを活用したIoTソリューションの展開を進めている。
今回の協業では、インテルがIoT プラットフォームの一環として展開する「インテル IoTゲートウェイ」と、富士通研究所の分散サービス基盤技術を組み合わせたものを、IoTソリューションとして提供する計画だ。
富士通研究所の分散サービス基盤技術は、センターと拠点を含むネットワーク全体にサービス機能を配備し、これらの一元的な管理を可能にするもの。センター側にクラウドベースの集中管理機構を設け、各ゲートウェイから受け取る監視情報に応じて、データ処理の最適配置を行う。これにより、ゲートウェイに処理を分散させ、それを人手を介することなく自動的に処理能力の最適配置を行える。
富士通では独自でIoTゲートウェイなども展開しているが、今回はインテルのIoTゲートウェイとの組み合わせで、より汎用性の高いシステム構築を実現した。インテル IoTゲートウェイは、インテルプロセッサーとソフトウェアとの組み合わせを事前に統合・検証することで優れた処理能力、セキュリティ、確証性を備えており、短期間でのシステム構築が可能な点が特徴だ。データ量のリアルタイムな変化に対応したシステムの拡張・変更が可能で、システム全体のコスト負担低減が期待できる。
これらの実際の効果を確認するために、富士通のPC生産工場である島根富士通において実証実験(PoB)を2015年5月から開始した(関連記事)。
まずは同IoTプラットフォームを、リペア工程の可視化に適用していくという。同工程は生産されたPC製品の中で検査によりはじかれたものを修理するというもの。製品にビーコンを設置し、リペアエリアに設置されたIoTゲートウェイにより製品の位置情報や滞留時間などを取得。それをクラウド側に送り、さまざまな情報分析を行う。
リペアが必要となった製品の位置情報、滞留時間などリペアの進捗をリアルタイムに把握することで、出荷までに発生する付帯作業の工数改善につなげる計画だ。今後は、試験工程における作業員や機器の動画像解析、試験ログとの相関分析などを行い、完成品の出荷率をさらに向上し、間接コストのさらなる削減を目指す。
この島根富士通での知見を基に富士通グループの他の製造拠点への展開を進める他、製造分野のIoTソリューションを確立させていく方針だ。また、流通、公共の分野においても、2015年度(2016年3月期)中に実証実験を開始するとしている。
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