パナソニックは2014年度の決算を発表した。2015年度までの3カ年計画の目標数値を全て1年前倒しで達成し、2015年度は「収益性改善」を最重視した段階から「売上高成長」へと舵を切る方針だ。また設備投資の“国内回帰”についても進めていく方向性についても示している。
パナソニックは2015年4月28日、2014年度(2015年3月期)の決算を発表した。2015年度までの3カ年計画の目標数値を全て1年前倒しで達成し「収益性改善」を最重視した段階から、2015年度は「売上高成長」へと舵を切る方針だ。また設備投資の“国内回帰”についても進めていく方向性についても示している(関連記事:企業買います! 積極M&Aに乗り出すパナソニック、1兆円規模の戦略投資実行)。
パナソニックの2014年度決算は、売上高が前年度比215億円減の7兆7150億円、営業利益が同25%増の3819億円、税引前利益が同12%減の1825億円、当期純利益が49%増の1795億円という結果となった。営業利益率は5%、ROE(株主資本利益率)は10.6%となり、フリーキャッシュフローは3535億円(2014年度)となった。
同社は2013年3月期(2012年度)まで2期連続で7000億円を超える最終赤字を出し、2014年3月期(2013年度)〜2016年3月期(2015年度)までの3カ年計画「CV2015」では「成長へのフェーズチェンジに向け収益基盤を整える」ことを最重視し取り組みを進めてきた。収益改善に向け、計画の最終年度となる2015年度の経営目標として「営業利益率5%」「フリーキャッシュフロー6000億円以上(2年累計)」を掲げてきたが、これらの目標数値を1年前倒しで達成したことになる。
パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏は「ここまでの3カ年計画では、売上高を追わず収益性を最重視して取り組んできた。事業部によってそれぞれ置かれている立場が異なるが、利益率の高い事業部は売上高も成長傾向にあり、利益率の低い事業部にとっては、売上高も減少傾向になる。その中でさまざまな施策を行いながら、円安などの追い風も受けて、満足する数値を残すことができた」と手応えについて語る。
主要課題事業についてもテレビ事業以外は大幅に改善。特に液晶パネル事業については「第3四半期に続いて、第4四半期も黒字化を達成した」(パナソニック 代表取締役専務 河井英明氏)としている。
2015年3月26日に開催した経営方針発表会では2014年度の業績は営業利益4.5%という予想を発表していた(関連記事)が、当初の見込みを上回り目標を達成したことについて、津賀氏は「当初の見込みでは、2015年度はあらためて営業利益率5%達成を目指しつつ、売上高成長にも徐々に取り組むという想定だったが無事に2014年度で全項目を達成できた。これにより『2018年度10兆円の売上高目標に向けてのスタートを切る2015年度』という位置付けを明確化することができた」と語っている。
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