パナソニックは、新たに策定した中期計画の中で、今後のパナソニックの柱として自動車分野に注力する方針を示した。2018年度に現在の2倍となる売上高2兆円を目指す。同社社長の津賀一宏氏は、「デンソーやボッシュといった立派なティア1サプライヤと肩を並べられるようにしたい」と述べている。
パナソニックは2013年3月28日、テレビ関連をはじめとする赤字事業の止血や、2015年度の営業利益3500億円の達成を目標に掲げた中期計画を発表した(関連記事:「安易な撤退は選ばない」、パナソニックが中期経営計画を発表)。4月1日からは、9社あった社内カンパニーを4社に集約し、88あったBU(ビジネスユニット)を49の事業部に再編する。
しかしパナソニックにとって、2015年度までの目標は、同社を新たな成長軌道に乗せるための基盤整備にすぎない。東京都内で開いた会見に出席した同社社長の津賀一宏氏は、今後のパナソニックの柱となる事業として、自動車と住宅の2分野を挙げた。両分野とも、2018年度の売上高を2兆円まで伸ばす方針である。津賀氏は、「2018年度の全社売上高が7〜8兆円だとすれば、その半分以上は自動車と住宅で占めることになる」と説明する。
特に自動車分野は、津賀氏自身がオートモーティブシステムズ社の社長に就いていたこともあって、非常に大きな期待を寄せている。「パナソニックが自動車分野に対して持っているポテンシャルは極めて大きい。しかし、オートモーティブシステムズ社の社長だったころには、事業部門間の壁などがあってそのポテンシャルを発揮しきれなかった」(津賀氏)という。
この「事業部門間の壁」を取り払うべく、4月1日からの組織改編では、自動車分野に関連するほぼ全ての事業をひとところにまとめた。具体的には、カーナビゲーションシステムやカーオーディオ、電装部品などを扱うオートモーティブシステムズ社と、半導体や電子部品が中心のデバイス社、エナジー社の蓄電池事業、実装機や溶接ロボットなどを手掛けるマニュファクチャリングソリューションズ社を統合し、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS)を新たに設立する。さらに、AV機器を扱うAVCネットワークス社内に、オートモーティブ開発センターを立ち上げる。これは、パナソニックのAV機器の技術を自動車分野で生かすためのもので、AISの活動をサポートする組織になる。
現在、パナソニックの自動車分野の売上高は約1兆円である。津賀氏は、「この現在の自動車分野をそのまま成長させて行けば、2018年度の売上高は1.5兆円程度まで伸びるだろう。しかし、2兆円という背伸びした目標を達成するには、カーナビゲーションシステムやカーオーディオ中心から、自動車の本体機能に踏み込んだ製品開発を行えるようにならなければならない。そのためにも、他社との協業や事業買収を積極的に進める必要がある。売上高が2兆円になれば、デンソーやボッシュといった立派なティア1サプライヤと肩を並べられるようになるだろう」と述べている。
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