パナソニックが事業再編を拡大、プラズマとスマホに続きエアコンとデジカメも製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニックは、経営再建に向けてテレビ事業の見直しを発表。プラズマディスプレイの生産を終了し、プラズマテレビから正式に撤退することを明らかにした。同社は個人向けスマホの新製品開発休止なども明らかにしており、事業ポートフォリオの変革を急いでいる。

» 2013年10月31日 22時15分 公開
[三島一孝,MONOist]
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 パナソニックは2013年10月31日、不採算となっていたプラズマディスプレイ生産およびプラズマテレビ事業から正式に撤退することを発表した。パナソニックは2013年9月に個人向けスマートフォンの新製品開発休止を発表したばかり(関連記事:パナソニック、個人向けスマートフォン事業から撤退を発表)。

 同社は代表取締役社長の津賀一宏氏の下、経営再建に向けた事業ポートフォリオの変革に取り組んでおり、「B2B(企業向け)シフトの姿勢を鮮明に打ち出す。また2016年3月期までに赤字事業を解消することを目指しており、不採算で黒字化の道筋が見えない事業の整理を急いでいるところだ。



プラズマディスプレイの生産を終了

津賀氏 パナソニック 代表取締役社長 津賀一宏氏

 パナソニックは、2000年代の主力事業としてプラズマディスプレイの生産とプラズマテレビの販売に取り組んできた。「大型ディスプレイはプラズマ」を合言葉に全世界で普及を進めてきた。また自社パネルによる一貫生産にこだわり、2005年には主力生産拠点として兵庫県尼崎市に主力工場を建設。現在までに6000億円にも及ぶ投資を積み重ねてきた。

 パナソニックでは2013年3月29日に2016年3月期までの中期計画を発表したが(関連記事:「安易な撤退は選ばない」、パナソニックが中期経営計画を発表)、その場では「事業を継続しながら赤字をなくす」(津賀氏)とし、あくまでも事業継続の道を模索していた。

 しかし、最終的に「プラズマディスプレイ事業は一時期は1000億円近い赤字を出していた。これを何とか2014年3月期は200億円の赤字にまで縮小させる見込みだ。しかし、この先に赤字額を半減させられるか、黒字転換できるか、ということを考えたとき、その道筋を見出だすことができなかったため、撤退を決断した」と津賀氏は話す。

PDP CEATEC JAPAN 2008に出展されたパナソニックの150型プラズマディスプレイ。当時世界最大ということで注目を集めた。

 この決定に伴い、プラズマディスプレイの生産を2013年12月で終了。2014年3月末でプラズマテレビの販売も終了する。またプラズマディスプレイを生産していた兵庫県尼崎市の第3工場、第4工場の事業活動を停止する。プラズマディスプレイの生産はパナソニックの子会社であるパナソニックプラズマディスプレイ(PPD)が請け負っていたが、従業員についてはパナソニック本体からの出向社員については戻すことが決まった一方で、PPDの社員については「未定」(パナソニック広報)。また、建屋や生産設備の今後については「まだ決まっていない」(パナソニック)という。

 テレビ事業の位置付けについても「パネルを生産する気はもうない。テレビは白物製品の1つと考え、付加価値を追求していく。また住宅事業などとの親和性を追求していく」と津賀氏は話している(関連記事:テレビは「白モノ家電の1つ」――プラズマ撤退で津賀社長)。

テレビ テレビ・パネル事業の抜本的対策(クリックで拡大)

 しかし、事業再編はこれだけでは終わらない。同社は2012年3月期、2013年3月期と2期連続で7000億円以上の赤字を出し、経営再建に取り組んでいる途上。その流れの中で「B2Bシフト」を経営再建の柱として打ち出し、不採算事業について、撤退や売却など抜本的な対処に取り組んでいるところだ。

 今回大きな赤字を出していたプラズマディスプレイにメスを入れたものの、津賀氏も「構造改革はまだ山場を越えたとはいえない」として、さらなる再編に取り組む覚悟を示している。

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