無償ソフトで3次元構造解析をしよう(後編)Adventure_On_Windowsの使い方(2/3 ページ)

» 2015年02月16日 11時30分 公開
[伊藤孝宏MONOist]

片持ち梁のたわみ量

 例題として、「設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法(7)」の片持ち梁のたわみ量を計算してみます。寸法、物性値、境界条件は同じで、図4に示す幅30mm、長さ300mm、高さ20mmの角柱の手前側を固定し、奥側の端部に下向きに100Nの荷重を与えます。

図4 片持ち梁

 ヤング率は同じく206GPaとします(AdvOnWinへの設定は長さがmm単位なので、206000となります)。この場合の解析解による端部の変位量は、0.218mmとなります(詳細は、「設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法(7)」を見てください)。

 では、モデルを作成し、AdvOnWinで解析してみます。

 先ほど、サンプルを作成した角柱と寸法が同じであるため、これを利用します。表2の操作を行った後、表4の操作を追加して解析を行うと、図5に示す解析結果が得られます。

表4 物性値、境界条件の設定から解析結果の表示
図5 片持ち梁の変位量

 AdvOnWinでの面への荷重設定は応力を設定するため、設定値は「-100/30/20=-0.167」になります。求める変位量は、解析を行い、解析→結果表示として得られる図5の変位Zの最小値になり、-0.187mmとなります。

 要素タイプで「四面体二次要素」を選択、あるいは、接点密度間隔を2.5に設定して、同様の処理を行った結果を表5に示します。

表5 要素の種類、接点密度間隔による変位量の変化

 表5から、四面体二次要素を用いると、変位量は解析解による値とほぼ一致する結果が得られることが分かります。また、四面体一次要素であっても、接点密度間隔を小さくすると、変位量は解析解に近づくことが分かります。

 接点密度間隔が大きいと変位量が小さくなるのは、有限要素法は接点で計算するため、接点間隔が粗いと、変形しにくくなるためです。従って、四面体一次要素では、接点が頂点にしかないため、要素数が少ないと、変形量が小さくなる方向に誤差が発生します。一方、四面体二次要素は、中間にも接点を有しているため、少ない要素数でも、精度の良い解析が可能です。

 ただし、計算効率の面では、四面体一次要素の方が良いため、概略の検討や応力を問題とするような場合は、四面体一次要素を使うなど、使い分けることで、効率の良い解析ができます。

穴開き板の応力分布

 中心に円孔の開いた板を引っ張った際に発生する応力は、穴がない場合の応力の

3倍の応力が円孔周縁に発生することが知られています。

 図6のように穴開き板をP=5000Nで引っ張った場合、例えば、板幅100mm・板厚5mmのperforatedplate.gm3dでは、「3×5000/100/5=30N/mm2=30MPa」の最大応力が発生します。

図6 中心に円孔を有する板

 では、AdvOnWinで発生する応力を計算してみます。図6は左右前後対象であるため、本来であれば、4分1分割モデルで計算することで、計算効率と精度を向上させますが、ここでは、そのまま計算してみます。

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