担当としては徐々に聞く機会の増えた「ロボットの社会実装」に注目しています。これまでロボットと言えば工場の生産ラインなど産業用が主であり、介護や農業、災害対応、エンターテイメントなどでの利用は限定的でした。しかし、その状況は変わりつつあります。
ロボットの社会実装とは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が発表した「ロボット白書」などで使われている表現で、「ロボット(あるいはロボット技術)が社会生活の中で、実際に利用できるかまでを確認する」という文脈で用いられることが多い言葉です。2014年はその言葉を聞く機会が増えました。
その流れの一環でしょうか、人間のいる社会でロボットが活動する際に何が必要かまで、踏み込んだ動きも散見されます。ソフトバンクの「Pepper」はクラウドAIによって、相手の心の機微を理解することに挑戦していますし、サイバーダインの装着型支援ロボット「HAL(腰タイプ)」は生活支援ロボットの国際安全規格として発行された「ISO 13482」の認証を得、本格的な販売を開始しようとしています。
「すごいロボットを作りました」「すごいですね」では終わるのではなく、少子高齢化による働き手不足、国内製造業の空洞化、社会インフラの老朽化、自然災害や事故への対応など、産業界以外の問題を解決するため、ロボットがさらに活用されていくべき時期にきていると思えるのです。
もちろん、単純に介護や農作業支援のロボットなどを作ればOKという簡単な話ではありませんし、大型ロボットが殴り合うという(社会問題の解決には直結しない)リアルロボットバトルが視聴者を引きつけるように、夢の具現化、総合技術の結晶としてのロボットにも高い価値はあります。
ただそれでも、「困っている人を助ける」ことがロボット、そしてロボット技術の一番の役目であって欲しいと思うのです。2015年はこうした「ロボットの社会実装」について、多くの事例や課題を取材して紹介できればと考えています。
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