富士経済は、サービスロボット世界市場の調査結果を発表した。高齢化や人手不足、AI、IoT技術の進展を背景に、2025年の同市場規模を前年比13.6%増の2兆7415億円と予測。2035年には11兆5481億円に拡大すると見込む。
富士経済は2025年10月15日、サービスロボット世界市場の調査結果をまとめた「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」を公表した。
同調査では、メディカルケア、商業・サービス業、現場作業など3分野24品目のサービスロボットについて、世界市場の現状と今後を分析した。また、米国や中国で開発が加速するヒューマノイドロボットや四足歩行ロボットの世界市場、サービスロボット関連で注目されるソリューションの国内市場についてもまとめている。
2025年の市場規模は前年比13.6%増の2兆7415億円と予測し、2035年には11兆5481億円に拡大すると見込む。高齢化や人手不足、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術の進展が追い風となっており、導入は今後も加速する見通しだ。
分野別に見ると、メディカルケア分野では、医療や介護従事者の負担軽減に向けた導入が増えており、2025年は前年比16.8%増の5155億円と見込まれる。手術支援ロボットが市場の約9割を占めるほか、介護用途のアシストスーツや移乗ロボットなども需要が拡大している。
商業・サービス業分野は、接客や清掃、警備などの分野で人手不足対策としてロボット導入が進み、2025年の市場は前年比17.9%増の2105億円と予測される。
現場作業分野も人手不足、作業員の高齢化を背景に市場が拡大している。2025年は前年比12.4%増の2兆156億円と市場全体の約7割を占め、建設、製造、物流、農業などで活用が広がる。
品目別では、ドローンの市場が2025年に9600億円、2035年には4兆6000億円に拡大する見込みだ。測量や点検用途に加え、防衛や配送などへの応用が進む。今後も業務の自動化と効率化を支える中核技術として成長が続くと見られる。
また、同調査では注目市場としてヒューマノイドロボットを取り上げ、2035年に9500億円規模へ成長すると予測した。AI技術の進展や量産化を背景として製造業を中心に導入が進んでおり、今後、開発コストや安全性に関する社会的受容性の課題が解決されることで、普及が進むと期待される。
もう1つの注目市場は、サービスロボットによる保守代行サービスの国内市場だ。
海外の配膳ロボットや業務用清掃ロボットの導入が増加したことで、導入時や導入後のサポートサービスの利用が進み、市場が急速に拡大している。
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