STMicroelectronicsは、相変化メモリを内蔵し、18nm FD-SOI技術を採用した高性能マイコン「STM32V8」を発表した。工場自動化、モーター制御、ロボットなどセキュリティ要求の高い機器にも幅広く対応できる。
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は2025年11月18日(現地時間)、次世代18nm FD-SOI技術と相変化メモリ(PCM)を内蔵した高性能マイクロコントローラー(マイコン)「STM32V8」を発表した。2026年1〜3月期から主要顧客向けに順次提供を開始し、その後一般提供に移行する予定だ。開発環境としてSTM32Cubeソフトウェアや各種評価ボードを利用できる。
STM32V8は、Arm Cortex-M85コアを搭載し、最大動作周波数は800MHz。高速かつ大容量の内蔵メモリにより、産業アプリケーション向けマイコンとして、工場自動化、モーター制御、ロボットなどセキュリティ要求の高いIoT(モノのインターネット)機器にも幅広く対応できる。FD-SOI技術とPCMにより、耐放射線性を含む堅牢性と信頼性を確保しており、過酷な環境下でも安定した動作が可能だ。
PCMのセルサイズは最小クラスで、4MBの不揮発性メモリを内蔵する。FD-SOI技術により最大140℃の接合部温度に対応し、高い電力効率と堅牢性を両立する。暗号化アルゴリズムやライフサイクル管理を含むセキュリティ機能を備え、今後適用されるサイバーレジリエンス法にも対応可能な設計となっている。
インタフェースは1Gビット/秒のイーサネット、FD-CAN、Octo、Hexa xSPI、I2C、UART、USART、USBに加え、アナログペリフェラルなどのIPを搭載。ベアメタルおよびRTOSベースの開発にも対応する。
同製品は、SpaceXのStarlink衛星ネットワークで使用される小型レーザーシステムにも採用された。地球低軌道における高放射線環境で高速通信を支える用途に利用されており、高い演算能力と大容量内蔵メモリがリアルタイム処理を支えている。
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