NIの製品を用いたテストシステムでは、ドイツの大手サプライヤContinental(コンチネンタル)の事例がある。同社が、顧客である自動車メーカーに提供する、ECUの生産時テストに用いるプラットフォームの構築にNI製品が採用されたのだ。
採用されたのはPXIプラットフォームと、計測アプリケーションをC言語で開発できる「LabWindows/CVI」だ。Fountain氏は、「コンチネンタルでは既にある計測ベンダーの製品を使っていたが、NIはコンペティションの際にターンキーでシステムを納入し、コンチネンタルの手を煩わせなかったことが評価された」と強調する。
このように好調な自動車向けテストシステム事業だが、さらに勢いを付けるべく新製品も準備している。それが「第3のHILS」と位置付ける「DesktopHILS」である。その名通りデスクトップPCと同等サイズのHILSになる。
NIのリアルタイムテスト&HILの市場開発マネジャーを務めるMichael Hutton氏は、「HILSというと、プロセッサを1個だけ使用する単機能のものか、ラックマウントに複数のプロセッサを組み付ける大規模なものか、どちらかしかなかった。DesktopHILSは、その中間に当たる3タイプ目の製品だ」と説明する。
1個のECUに組み込まれる車載ソフトウェアの開発は10人程度のプログラマーが分担して進めている。一般的に、ECUの車載ソフトウェアは、機能ごとに幾つかのサブセクションに分かれている。車載ソフトウェアの開発を担当する1人のプログラマーが、あるサブセクションを試すためにHILSを使いたいとしよう。単機能のHILSだと、サブセクションを試験するには処理能力が不足している。一方で、高価になる大規模なHILSは多数用意されていないので1人のプログラマーが占有するわけにもいかない。しかし、そのプログラマーは、サブセクションの試験に十分な処理能力を持つHILSを占有して使いたいのが本音だろう。
DesktopHILSはこのニーズを満たす製品になるという。価格は単機能のHILSの2倍程度になるが、「需要は大きいと考えている」(Hutton氏)という。
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