NEDO、iPS細胞などを使った立体組織・臓器製造の技術開発に着手医療技術ニュース

NEDOは、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨・血管・心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手した。

» 2014年11月28日 07時00分 公開
[MONOist]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年11月7日、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨・血管・心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手したと発表した。

 これまで再生医療の技術開発では、iPS細胞などの培養や分化誘導など、再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかの技術開発が積極的に行われてきた。今回のプロジェクトでは、これらの細胞を用いてバイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などで機能的な立体組織や臓器を製造する、新たな技術開発の段階へとステップアップを図るという。

 事業期間は2014年から5年間で、総事業費は約25億円の予定。採択されたテーマは、「高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発」「バイオ3Dプリンタで造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床開発」「革新的な三次元精密細胞配置法による立体造形と小口径血管を有するバイオハートの研究開発」「組織工学を用いたヒト心臓壁立体造形技術の開発」「細胞シート工学を基盤とした革新的立体臓器製造技術の開発」の5つで、東京大学など29者に委託する。

 各プロジェクトでは、バイオ3DプリンタやヒトiPS由来細胞シートなどを用いて、生体内で組織の再生が可能な骨/軟骨・半月板/膝関節/皮膚の作製、細胞のみで構成する小口径の血管、ミクロなレベルで構造・形状が制御された機能的な立体心筋、細胞の生存・機能を維持し従来にない厚みを持った立体心筋、細胞密度の高い立体心筋、管状の心臓などを開発し、新たな再生医療製品として実用化を目指すという。

 なお、プロジェクト期間中にステージゲート審査を設け、実現性の高いテーマに絞り込む。NEDOでは同プロジェクトにより、日本が強みとする細胞の立体造形技術を活用することで、立体組織・臓器の作製技術の実用化を目指すとしている。

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photo (左)高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発、(右)バイオ3Dプリンタで造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床開発
photo (左)革新的な三次元精密細胞配置法による立体造形と小口径血管を有するバイオハートの研究開発、(右)組織工学を用いたヒト心臓壁立体造形技術の開発
photo 細胞シート工学を基盤とした革新的立体臓器製造技術の開発

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