大学の研究成果の紹介と企業とのビジネスマッチングを行う展示会「イノベーション・ジャパン2014−大学見本市」では、数多くの大学が研究成果を発表。同イベントで明治大学 研究・知財戦略機構は、積層型3Dプリンタに対抗する試作技術として、立体物を簡単に作れる折り紙式の立体造形手法を紹介した。
大学の研究成果の紹介と企業とのビジネスマッチングを行う展示会「イノベーション・ジャパン2014−大学見本市」が2014年9月11〜12日に、東京ビッグサイトで開催された。その中で明治大学 研究・知財戦略機構特任教授 萩原一郎氏は、積層型3Dプリンタに対抗する試作技術として、立体物を簡単に作れる折り紙式の立体造形手法を紹介し、注目を集めた。
同氏が紹介する「折り紙工法」は、3Dスキャンした立体物および3次元CADのデータを折り紙ができる展開図に変換し、それを折っていくことで立体物を造形する手法だ。
折り紙工法の利点について萩原氏は「3Dプリンタを含む積層造形では、造形サイズが限られるが、折り紙工法であれば、大型のものを造形できる。また折る手間は掛かるが、積層造形に比べると作成時間は短い。さらに色や動きのあるものも作ることができる」と語る。
大型の作成物では、自動車のバンパーやドアなども作成したことがあるという。また展開図は2次元であるため、一般的なプリンタで印刷し、それを切り抜いて折ることで3Dの立体物を作成できるとしている。「思い立った際にコストや設備などを気にせずに試作に取り組める」と萩原氏は述べる。
ポイントとなるのはソフトウェアで、3Dプリンタなどで利用するSTLファイルであれば、折り紙用に山折りや谷折りなどを加えた展開図を作成可能。手で折っていくため、高精度の3Dプリンタによる積層造形のように、滑らかな質感を実現する造形などは難しいが、大体の形状や大きさを検討する試作段階では利用用途がありそうだ。
既に樹脂や金属など紙以外の素材についても研究を進行。今後は「折り用のロボット」の開発を行うことで「金属を利用した造形などに取り組む他、試作用だけでなく完成品の製造用途への応用も目指していく」と萩原氏は話している。
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