静岡理工科大学チームが、第12回大会に向けて開発したEVとICVの両マシンに共通するコンセプトは、「シンプルなマシン」。ドライバーやマシン整備者が扱いやすい車両の開発を目指したそうです。部品を溶接するポイントを減らして部品点数を削減するなど、若く経験の浅い部員が多いというチーム状況でも開発が行いやすくなるように工夫を凝らしています。
今回の第12回大会で優勝を飾ったEV車両は、バッテリーコンテナの搭載位置を変更し、コーナリング時の姿勢の安定性を高めています。また、安全性や整備性を高めるために、配線や定格電圧なども見直しました。電子機器設計に詳しい部員が少ないため、車両を開発していく中でも制御ボックスの開発には特に苦労したそうです。主に4人の部員が開発を担当し、大学内でロボットの開発を行っている学生などにアドバイスをもらいながら日夜作業を進めました。
「シンプルなマシン」というコンセプトには、ドライバーが扱いやすい車両を設計するという意味も込められています。EV車両は、運転中にドライバーが操作する機器類も最小限に抑えました。車重が軽いというのも特徴で、同チームは本大会でEV部門の最軽量化賞も獲得しています。
EV部門で優勝を飾った前回の第11回大会では、車両の耐久性を競うエンデュランスではリタイヤとなってしまいました。その悔しさを晴らすべく、今回の第12回大会の目標は全競技の完走。しかし、再びエンデュランスの途中でトラブルが発生してしまい、惜しくもリタイアという結果に。
大坪さんは「この1年間のチーム全体の頑張りを考えると、本当に完走してほしい、完走するべきマシンだったと思う。それだけにエンデュランスでリタイヤとなってしまったことがとても悔しい。4回生は卒業してしまうため、上級生が少ない状況が続くが、チームには前回や今回の大会で経験を積んだたくさんの下級生がいる。次回こそは優勝だけでなく、全ての競技で完走したい」と、次の大会を見据えた目標を語ってくれました。
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