DFMEAで故障を先回り! 信頼性設計とCAE活用の基本若手エンジニアのための機械設計入門(17)(1/3 ページ)

3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、アナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第17回は、DFMEAを起点に故障モードを整理し、設計改善やCAE検証へつなげる考え方について取り上げる。

» 2026年06月02日 07時00分 公開

信頼性設計をCAEによる検証へつなげる

 前回は、「ワイブル解析」で得られた故障傾向を「FMEA」や「DFMEA」に展開し、設計改善やCAE検証へつなげる考え方について解説しました。今回はその続きとして、特にDFMEAに焦点を当てます。

 信頼性設計というと、寿命試験や統計解析、品質保証部門が行う専門的な活動を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、機械設計者にとっての信頼性設計は、もっと身近なものです。

 それは、設計段階で次のようなことを考える活動です。

  • この部品はどのように故障する可能性があるか
  • その故障は製品機能にどのような影響を与えるか
  • その原因は設計で防げるのか
  • 設計段階で確認できることは何か

 その中心にある手法がDFMEAです。

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DFMEAとは何か

 DFMEAは“Design Failure Mode and Effects Analysis”の略で、日本語では「設計故障モード影響解析」と呼ばれます。

 FMEAは、製品や工程に起こり得る故障モードと、その影響を整理する手法です。その中でもDFMEAは、特に設計段階で行うFMEAです。つまり、まだ製品が完成していない段階、場合によっては3Dモデルや図面を作成している途中の段階で、設計に潜む故障リスクを洗い出す活動といえます。

 ここで重要なのは、DFMEAを「品質保証の帳票」と考えないことです。DFMEAは、設計者が自分の設計意図を確認し、その設計がどのように機能を失う可能性があるかを考えるための道具です。

 例えば、ブラケットを設計する場合、その部品の役割は単に「取り付けること」ではありません。相手部品の位置を決める、荷重を受ける、振動を抑える、組み付け性を確保する、変形を抑えるなど、複数の機能を持っています。

 DFMEAでは、まずこの機能を明確にします。その上で、それぞれの機能が失われるとしたら、どのような故障モードになるかを考えます。位置を決める機能が失われれば、芯ずれや位置決め不良が起こるかもしれません。荷重を受ける機能が不足すれば、変形や破損が発生する可能性があります。振動を抑える機能が弱ければ、共振や締結部の緩みにつながるかもしれません。

 このように、DFMEAでは「部品名」ではなく、「機能」を出発点にして故障を考えることが重要です。

DFMEAで見るべき故障モード

 機械設計で扱う故障モードは、決して特別なものばかりではありません。設計者が日常的に見ている現象の多くが、DFMEAで扱う対象になります。例えば、破損、疲労破壊、変形、摩耗、焼き付き、緩み、異音、振動、発熱、腐食、劣化、組み付け不良、干渉、位置ずれ、シール不良などです。

 ここで大切なのは、以下のように故障モードを抽象的に書かないことです。

  • 不良
  • 破損
  • 動作しない

 これだけでは、設計改善につながりません。

 例えば、「破損」と書く場合でも、どこが、どの方向の荷重で、どのような応力状態で破損するのかを考える必要があります。静的な破損なのか、疲労による破損なのかによっても、見るべきポイントは変わります。

 「動作しない」と書く場合も同じです。摩擦が大きくて動かないのか、変形して干渉するのか、芯ずれで摺動抵抗が増えるのか、熱膨張でクリアランスがなくなるのかによって、対策は全く異なります。

 DFMEAでは、故障モードをできるだけ設計者が扱える言葉に分解することが重要です。

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