DFMEAで故障を先回り! 信頼性設計とCAE活用の基本若手エンジニアのための機械設計入門(17)(2/3 ページ)

» 2026年06月02日 07時00分 公開

FTAとフィッシュボーン図はDFMEAを助ける道具

 DFMEAを行うとき、FMEA表だけを見ていても故障原因が十分に出てこないことがあります。そのような場合に有効なのが、「FTA」や「フィッシュボーン図」です。

FTAとは

 FTAは“Fault Tree Analysis”の略で、日本語では「故障の木解析」と呼ばれます。重大な不具合や機能喪失を出発点にして、その原因をさかのぼって整理する手法です。

 例えば、「回転軸が回らない」という重大な不具合を考えます。その原因として、モーターが動かない、軸受が焼き付く、ギヤが破損する、異物をかみ込む、芯ずれが発生する、潤滑が不足する、制御信号が出ないなどが考えられます。FTAは、結果から原因へ向かって考えるため、重大不具合の原因構造を整理するのに適しています。DFMEAで重要な故障モードが見つかった場合、その原因を深掘りする手段として使うと有効です。

FTA(故障の木解析)参考図 図1 FTA(故障の木解析)参考図[クリックで拡大]

フィッシュボーン図とは

 一方、フィッシュボーン図は、原因候補を広く洗い出すための手法です。「特性要因図」とも呼ばれ、設計、材料、加工、組立、検査、使用環境などの分類で原因を整理できます。

 例えば、「軸受の早期損傷」という問題であれば、設計面では荷重条件の見積もり不足、軸受の選定ミス、剛性不足が考えられます。加工面では軸径の寸法不良や面粗さ不良、組立面では芯ずれや予圧過大、使用環境では粉じん、温度上昇、振動、過負荷などが挙げられます。

 フィッシュボーン図は、原因を断定するためのものではありません。抜け漏れなく原因候補を出すための道具です。DFMEAの前段階で要因を広く洗い出したい場合や、複数部門で不具合原因を議論する場合に役立ちます。

フィッシュボーン図(特性要因図)参考例 図2 フィッシュボーン図(特性要因図)参考例[クリックで拡大]

 つまり、DFMEAを中心に考えるなら、FMEA表だけで完結させるのではなく、重大故障はFTAで深掘りし、原因候補はフィッシュボーン図で広げるという使い方が実務的です。

DFMEAは設計改善につなげて初めて意味がある

 DFMEAで故障モードを洗い出しただけでは、信頼性設計は完了しません。重要なのは、その結果を設計改善につなげることです。

 故障モードが「疲労破壊」であれば、応力集中を低減する形状にしなければなりません。R形状を大きくする、板厚を見直す、荷重経路を変える、リブを追加するなどの対策が考えられます。

 故障モードが「摩耗」であれば、材料、表面処理、硬度、潤滑、接触面圧、摺動速度を見直す必要があります。

 故障モードが「組み付け不良」であれば、寸法公差、幾何公差、基準面、組立手順、治具、検査方法を見直すことになります。

 故障モードが「熱による機能低下」であれば、放熱経路、材料特性、熱膨張、周囲温度、冷却方法を考える必要があります。

 このように、DFMEAは設計者に対して、故障モードを設計要素へ置き換えることを求めます。

 「壊れるかもしれない」で終わらせるのではなく、「どの設計要素を変えればリスクを下げられるか」まで考えることがDFMEAの本質です。

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