トヨタ自動車は、燃料電池車の燃料タンクである高圧水素タンクを自主検査で製造できる「登録容器製造業者」として経済産業大臣からの認可を取得した。これによって、高圧ガス保安協会による立会検査が不要になり、高圧水素タンクや燃料電池車の生産性を向上できるという。
トヨタ自動車は2014年8月29日、燃料電池車の燃料タンクである高圧水素タンクを自主検査で製造できる「登録容器製造業者」として経済産業大臣からの認可を取得したと発表した。70MPaの高圧水素タンク製造業者として認可を受けるのは、トヨタ自動車が初めて。これによって、高圧ガス保安協会による立会検査が不要になり、高圧水素タンクや燃料電池車の生産性を向上できるという。
高圧水素タンクなど1MPa以上の圧力でガスを貯蔵する容器や付属品は全て、経済産業省の型式認証を取得した上で、製造過程において、高圧ガス保安協会の立会検査を受けることが高圧ガス保安法により義務付けられている。高圧水素タンクの場合は、製造途中と完成時、2回の立会検査が必要であり、検査で合格するまでは次の工程に進むことができない。トヨタ自動車は、燃料電池車の実験車「FCHV-adv」などの生産時には、搭載する高圧水素タンクの製造過程で高圧ガス保安協会の検査員による立会検査を受けていた。このため、タンクの検査待ち在庫の管理、タンクの製造計画や燃料電池車の生産計画を立会検査の日程に応じて調整するなどの対応が必要だった。
トヨタ自動車は、2015年3月までにセダンタイプの燃料電池車を量産する予定である(関連記事:トヨタが燃料電池車の価格を700万円に低減、ハイブリッド車と部品を共用)。そこで燃料電池車の生産性を向上するには、高圧水素タンクの製造の際に高圧ガス保安協会の立会検査が不要になる登録容器製造業者の認可が必要になると考え、取得に向けた準備を行ってきたという。
登録容器製造業者の認可取得には、高圧ガス保安協会が定めた「KHKS 0102 容器等製造業者登録基準(2010)」(以下、「KHKS 0102」)に合格し、「製造プロセスにおいて高度な品質管理体制を構築していると認められる事業者」であると認定される必要がある。トヨタ自動車は、194項目に渡る詳細なKHKS 0102の基準に合致させるために、これまで培ってきた品質マネジメントシステムをベースに、品質マニュアルや容器検査規程などを整備するとともに、関連部品会社を含めて文書体系化された品質マネジメントシステムを確立した。2014年6月に、高圧ガス保安協会による高圧水素タンク製造ラインの現地確認において、「KHKS 0102に適合」との判定を得た。その後同年7月に、中部近畿産業保安監督部に経済産業大臣の認可を得るための申請書を提出し、基準を満たしていることが確認されたので、このほど認可を受けるに至った。
今回の認可取得により、今後は、認可基準に沿って自社で検査員制度を制定し、そこで選定した社内検査員による高圧水素タンク製造の自主検査を行う方針である。
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