アナログ・デバイセズは「産業オープンネット展2025」に初出展し、産業用イーサネットTSNスイッチ「ADIN6310」「ADIN3310」の評価ボードを使ったデモンストレーションを行った。
アナログ・デバイセズ(ADI)は「産業オープンネット展2025」(2025年7月9日、東京都立産業貿易センター)に初出展し、産業用イーサネットTSN(Time Sensitive Networking)スイッチ「ADIN6310」「ADIN3310」の評価ボードを使ったデモンストレーションを行った。
TSNは、産業分野のイーサネット通信に必要なリアルタイム性をもたらし、製造現場のスマートファクトリー化に貢献する技術として注目されている。アナログ・デバイセズはIEEE 802.1 TSNタスクグループや、IEEE/IEC 60802のワーキンググループなどに参加して規格の策定に取り組んできた。
ADIN6310は6つ、ADIN3310は3つのイーサネットポートをサポート可能。通信速度は10M/100M/1Gbpsに対応しており、各ポートはそれぞれ異なる速度で動作するように設定できる。未割り当てのメディアアクセス制御(MAC)インタフェースを備え、ADIN1100、ADIN1200、ADIN1300など同社の物理(PHY)レイヤーデバイスと組み合わせることで、低消費電力、低遅延のシステムを構築できる。ADIN6310は2024年末に、ADIN3310は2025年初に量産がスタートしたという。
ADIN6310/ADIN3310はIEEE 802.1AS-2020の時刻同期に加え、IEEE 802.1TSNの全ての機能をサポートしている。優先度の高いトラフィックを他のトラフィックによって邪魔されることなく、確実に時刻通りに送信する「スケジュールトラフィック」や、一時中断が可能と指定されたフレームの送信を中断して、優先度の高いフレームを送り、その後中断したフレームの送信を再開する「フレームプリエンプション」などの機能が利用可能だ。
会場ではADIN6310/ADIN3310の評価ボードを使い、スケジュールトラフィック機能のデモを披露した。
2つのモーターで毎分600回転する円盤に一定間隔でLEDを照射し、アナログ・デバイセズのロゴをそれぞれ同じ位置に浮かび上がっている。片方のモーターには位置センサーが取り付けられており、そのデータを基にもう片方のモーターの回転速度を調整している。そこに故意に邪魔なパケットを送り、位置センサーからのデータを遅延させるとロゴの位置にずれが生じるが、スケジュールトラフィックを使うと邪魔なパケットを送っても遅れが生じず、ロゴは同じ位置に表示されていた。
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