アナログ・デバイセズは「惣菜・デリカJAPAN」に初出展し、繊細なモーション制御に特長を持つ「Trinamic」の製品を展示した。
アナログ・デバイセズは「惣菜・デリカJAPAN」(2023年9月20〜22日、東京ビッグサイト)に初めて出展し、繊細なモーション制御に特長を持つ「Trinamic」の製品を活用したデモンストレーションなどを披露した。
もともとドイツ企業だったTrinamicではモーション制御用の半導体などを開発していたが、2020年にマキシムに買収され、2021年にアナログ・デバイセズがマキシムを買収したことでアナログ・デバイセズの傘下となった。
Trinamicの製品には制御に関わる高精度なアルゴリズムが組み込まれている。ステッピングモーターの負荷をセンサーレスで検知する「StallGuard」や、センサーレスの負荷変動型電流制御によって最大75%の省エネを実現する「CoolStep」、モーターから生じる可聴高音のノイズを低減して静かなモーター制御を図る「StealthChop」などがある。
会場では、AI(人工知能)などを用いた自動化ソリューションを開発する、ロビットの食品加工用AIカットロボットのハンド駆動部分への採用事例を紹介した。
採用されたのはモーター制御用ICである「TMC5130」「TMC5160」。ステッピングモーターにStallGuardの機能を適用してハンドへの負荷を検知することで、センサーがなくても従来のエアーを用いたハンドより柔らかな把持を実現した。
「センサーがなくなることでセンサーをつないでいたケーブルが要らなくなり、ロボットの動きにより柔軟性を持たせることができ、ケーブルのコストもかからなくなる。食品製造工程では湿気などがあり環境が厳しく、センサーが汚れると生産効率も落ちてしまう」(アナログ・デバイセズの説明員)
人手不足が課題となっている食品業界で、自動化やロボットの一層の導入推進には繊細なモーション制御が求められる。アナログ・デバイセズが惣菜・デリカJAPANに初めて出展したのも、そういったソリューションの開発を目指す装置メーカーらへのアピールも兼ねてだ。
「もともとTrinamicが持っている機能をこんな風に使うと採用事例がもっと広がるのだと、ロビットのケースで気付かせてもらった。欧米ではTrinamicは知られていたが、日本のユーザーにはあまりまだ知られていない。作業者の高齢化や人手不足が起こっている食品業界の自動化の役に立ちたい」(同説明員)
その他、ICやシステムレベルの機能を集積した組み込みモジュール、制御基板付きモータ、IC製品のように基板実装が可能な、ソフトウェアスタック付きのリードレスモジュール「MotionCookie」などを展示した。
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