MONOistでは、設計現場でのデスクトップ仮想化の活用状況について、読者調査を実施した。調査結果によると、設計環境でデスクトップ仮想化を利用しているのは10.6%となり、利用企業は「データ漏えい対策」や「情報共有の容易さ」などに効果を得ているという結果となった。
MONOistでは、設計現場での「デスクトップ仮想化」の活用状況について、読者調査を実施した。調査結果によると、設計現場でデスクトップ仮想化を利用しているのは全体の10.6%で、利用企業は「データ漏えい対策」や「情報共有の容易さ」などに効果を得ているという結果となった。調査はMONOistの読者を対象に行い、調査期間は2014年6月20日〜同年6月30日で、有効回答数は150件。
読者調査の結果を見ると、現在設計環境にデスクトップ仮想化を「導入している」と答えた回答者は10.6%となり、導入していない回答者が約9割を占めている結果となっている。
設計現場において、デスクトップ仮想化を活用しようという動きは以前から存在していた。特にBCP(事業継続計画)の観点や情報漏えいを防ぐという視点から、製品設計データを一元管理するために活用しようという動きがあった。
しかし従来はデスクトップ仮想化技術が未成熟であり、CADなど負担が大きいアプリケーションを利用するとパフォーマンスが落ちる問題を抱えていた。読者調査の結果を見てもCAD環境のデスクトップ仮想化に対し「関心がない」と答えた回答者の多くが、その理由として「レスポンスの悪さ」や「コストパフォーマンスの悪さ」などを挙げている。
ただ、最近の「GPU仮想化」技術の進歩で、画像処理能力が格段に洗練されてきており、条件が整えば、CADをデスクトップ仮想環境で扱った場合でも、問題ないパフォーマンスが発揮できるようになってきている。そのため先進企業では、設計現場におけるデスクトップ仮想化の導入をあらためて検討しようという動きが広がってきている。
実際に今回の調査で「活用している」と答えた10.6%の回答者は、デスクトップ仮想化により「データ漏えい対策」(36.4%)、「情報共有の容易さ」(27.3%)、「導入・運用費用の低減」(13.6%)などのメリットを得られていると回答。当初からデスクトップ仮想化に期待されていた、情報漏えいや情報共有のメリットは十分に享受できていると考えられる。
これらのメリットは設計環境を海外展開する際にも大きな力を発揮する。製造業にとって、グローバル展開はもはや避けて通れない状況になる中、より現地のニーズに対応した製品開発を実現するために、設計環境の海外展開も徐々に広がりつつある。ただ、設計部門を海外に移転しグローバル設計を行うためには、設計データの盗難など情報漏えいを防がなければならない点や、他地域との連携などが課題となる。デスクトップ仮想化を利用すれば、これらの課題を抑えることができるため、注目を集めているといえる。
設計環境でデスクトップ仮想化なんて無理だ、必要ない――。そう思い込んでいる設計・開発関係者は多い。しかし、本当にそうだろうか。デスクトップ仮想化に関する技術進歩は目覚ましく、実はここ最近の設計・開発環境に求められている要求は、「仮想化」により、その多くが解決可能となっている。デスクトップ仮想化が設計環境にもたらす価値について解説する。
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