ICの消費電力は電池駆動の携帯機器だけの問題ではありません。サーバからスーパーコンピュータまで大規模システムでもICの消費電力と発熱は大きな問題となっています。
サーバを設置する場合にまず検討しなければならないことは、電力の供給と空調です。サーバの消費電力が小さく発熱が少なければ、空調能力を小さくすることができ、空調設備と空調に使う電力を抑えることができます。
サーバの消費電力が小さいと電力と空調、両方で大きなコストダウンが可能となります。
これがスーパーコンピュータとなるとさらに規模が大きくなります。
富士通の技報によると※2)、『京』(図12)の消費電力は825MFLOPS/Wでトータル9.89MWとのことです。
※2)『FUJITSU』、Vol.63、No.3、P.269
ところが『京』の消費電力は15MWとして見積もられ、余裕をもって20MWの電力を関電と契約しています。
通常、コンピュータ本体の消費電力の30%程度の電力が空調に必要といわれています。約10MWの本体に対して約3MWの空調、これに数パーセントの余裕を入れて15MWとなります。
膨大な『京』本体を収納して、効率的な空調、20MWの電力システムを構築するためには新しいビルを作る必要があります。
『京』の基板は発熱の高いプロセッサやネットワークチップは水冷、メモリを空冷で冷却しています(図13)。
前田 真一(マエダ シンイチ)
KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。
近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.